志磨遼平(毛皮のマリーズ)×だいち69(THE WAYBARK)対談


死にかけた日本のロックンロールを蘇生すべく
ロックを愛する『俺たちの世代』が、新しい時代を創る!

 毛皮のマリーズの志磨遼平と、THE WAYBARKと『AOMORI ROCK FESTIVAL 〜夏の魔物〜』の主催者、だいち69の対談を決行した。まずは2人のプロフィールを紹介したい。

志磨遼平(毛皮のマリーズ)
2003年に結成された4人組ロックバンド〈毛皮のマリーズ〉のヴォーカル。バンド名の由来は寺山修司の『毛皮のマリー』から。2006年に1stアルバム『戦争をしよう』で登場し、グラマラスかつ破壊的なパフォーマンスが〈東京のストゥージズ〉と呼ばれた毛皮のマリーズ。その後、2ndアルバム『マイ・ネーム・イズ・ロマンス』、ミニアルバム『Faust C.D.』、3rdアルバム『Gloomy』と作品を重ねる度に評価を高めてきたマリーズ。衝撃的なライヴも話題を呼び、昨年の『夏の魔物』ではヘッドライナーを務めた。2010年4月には遂に、メジャー・デビュー! アルバム『毛皮のマリーズ』をリリース。
http://www.kegawanomaries.jp/

だいち69(成田大致)
2005年に当時19歳のだいち69が企てて始まった『『AOMORI ROCK FESTIVAL』、通称『夏の魔物』は、今年で5回目を数える。また、だいち69は自身のバンドTHE WAYBARK(ザ・ウェイバー)のVoでもある。WAYBARKはだいち69とJohnnyにより、2002年6月9日、ロックの日に結成。地元青森で多数のツアーバンドと対バンを行い、ロックシーン『青森爆裂都市』を引っぱっている。ギターウルフ・セイジ氏からは「こいつらがいる限り青森のロックの火は燃え続ける」と絶賛される。そしてこの夏、7/21に1stフルアルバム『マイ・ジェネレイション』をAinever music(LIVESCAPE Inc.)からリリースした。なんとDVD付きで¥1000の破格値!
http://www.thewaybark.com/

 そんな志磨遼平とだいち69に、お互いのバンドのこと、この夏、8/20〜21に開催されるロックフェス『夏の魔物』について、ざっくばらんに語ってもらった。『夏の魔物』の詳細は以下の通り。

『AOMORI ROCK FESTIVAL'10 〜夏の魔物〜』

日時:8/20(金)〜21(土) 開場9:00/開演9:30
場所:青森県つがる市森田町つがる地球村円形劇場
TICKET:【DAY 1】1人券¥2,500 ※大学、短大、専門学生は当日受付にて8/21のチケット+学生証提示で無料 ※中高生は当日受付にて学生証提示で無料 
【DAY2】1人券¥6,500、ペア券¥12,000、4人券¥22,000、中高生1人券¥3,000(当日券のみ・学生証を提示)

その他、詳細は http://natsunomamono.fc2web.com にて

俺の愛した毛皮のマリーズはどこへ行った?

■7月11日の恵比寿リキッドルームでの、毛皮のマリーズのワンマンどうでした?
だいち:
やっぱりキッズ達の熱量、エネルギーを感じて。リキッドが満杯になって、盛り上がってて嬉しかったですね。ロックンロールが伝わってきてるんだなって。
志磨:僕らが演ってる音楽ってローリング・ストーンズとかRCサクセションとかの感じの音楽で――。
だいち:スタジアム・クラスの。
志磨:そうそう。僕が若い時、早くそういう所でできるようになりたいと思ってたんです。 “バンドワゴン”って曲があるんですけど、ホーン・セクションやピアノが入ってて、ギターはオープンGの王道のロックンロールなんですけど、リキッドでキッズがダイブしてたのを見て、現代的なダイブとかモッシュって意外だったし、ちょっと達成感のようなモノを感じました。こういうロックンロールでダイブするバンドっていないと思うので。2010年に於いても、そんなロックンロールがガキンチョに有効なのは、ずっとストーンズになりたくてやってきた自分としては誇らしい。
■青森でTHE WAYBARKが毛皮のマリーズと対バンした後、だいち君がブログと、その後に僕が取材した時も、マリーズに苦言を呈していたと思いますが。ブログの内容は強烈でしたけど、そこを改めて話してもらえますか。
だいち:
今回のツアーを3本見たんですけど、その3本が別モノだったというか、青森はツアーの3本目で、青森のライヴしか観てない時は、そう思ったんです。俺はこれまで全部のアルバムのツアーを観てて、フェスとかの大きいステージも見てて、今回の青森のライヴを見た時、アレ?っと思って。『毛皮のマリーズ』ってセルフタイトルをアルバムにつけたツアーの割には、今までで一番マリーズらしくないライヴをしていて。サウンドもライヴの組み立ても今までと違うっていう戸惑いも有り、「なんか足りねぇ」「ひよったんじゃないのマリーズ?」みたいな。牙を抜かれた狂犬、いや、まるでまったく違うバンド、別バンドに感じたというか。
志磨:その後、東京で会ってお茶した時は、もっと酷いこと言ってたんですよ(笑)。「ダメっすよー!」って。その後、仙台のライヴに来てくれて。
■仙台で観て、その考えが変わったと。
だいち:
もう仙台で観たショウは「これぞ、毛皮のマリーズ!」っていうモノでしたね。これなら昔の曲とか今の曲とか関係無いってぐらい、最高のロックンロール・バンドとしての毛皮のマリーズで。その時も言ったんですけど「もう武道館の階段が見えた」ぐらいの、凄いショウをして、盛り上がってて。ある意味、伝説のライヴですね。
志磨:だいち君と渋谷で何時間もしゃべったから、僕ら仙台から変わったんですよ。
■意識が変わったと?
志磨:
そう。まず「ゴキゲンなロックンロール・アルバム」っていうのがあって、だからリキッドの光景が後々、嬉しいんですけど、そういうロックンロールって難しいじゃないですか。自分もそうでしたけど、日本人は思想のような、難しく考えたがるから。それを「ゴキゲンな曲が十数曲入ったレコードができたよ。それで僕達はデビューする」っていうのが痛快で。RCサクセションの“ドカドカうるさいR&Rバンド”じゃないですけど、ワゴンで街から街へのツアーで、チケットがガキンチョにバラまかれて。
■モンキービジネスですね。
志磨:
そういうイメージでやろうとしたんですけど、初日の下北沢シェルターでお客さんが静まり返って、アレ?ってなり。僕はお客さんとディスカッションというか「僕は新しいレコードの曲を演りたい」って言ったら、みんなシーンって総スカンをくらいました。でも、デビューしたてのバンドが昔の曲を演らなあかんようなのってカッコ悪いでしょ。でもその後、札幌、青森と演って、だいち君からも同じように言われて(笑)。
だいち:なんか不思議な光景というか、青森は〈サンシャイン〉で演ったんですけど、青森は他と違って特殊な地域だと思うんですよ。マリーズが1stの時からのファンと、今回の盤で入ってきたファンで、昔から観てる人が割と多かったですけど、盛り上がってる感もくっきり別れてて。アンコールで志磨さんが「昔の曲の方がいい?」って訊いたんですよ。
志磨:そう(笑)。青森は特殊っていうか、だいち君が『(AOMORI ROCK FES.)夏の魔物』をやってもう5回目でしょ。だいち君はタワレコもHMVも無い青森で「ロックを根付かせたい」って言って、それができてるんですよね。例えば、毛皮のマリーズっていう、オリコンに入ってないようなバンドが支持されるっていう青森のロックシーンは、だいち君が作った土壌があるんですよ。『夏の魔物』を中心としたロックシーンがあって。そこに僕らは昔から歓迎されて行ってて。だいち君が打破しようとしてた事って、例えばレンタルしかしない子達とか、最近、話題になってるバンドをYouTubeでチェックするぐらいの人達を打破しようと。今回、皮肉にも僕らがそういう子達を、だいち君のシーンに連れて来たっていうね。
だいち:ああ、そうですね。
志磨:そういうのが特殊じゃないかなって。だいち君らが打破しようとした現状に、僕らが引き戻してしまうようにも見えたし。アンコールで「昔の曲、聴きたいかー? 昔の曲の方が好きかー?」って言ったら、ウワー!ってもう会場が割れんばかりの歓声があがって(苦笑)。
■それはシニカルですね。僕もなぜ、その部分を訊きたかったかって、だいち君のブログを読んだりした後に、今回、2人がタッグを組むと知った時、そんなわだかまりがあるのにタッグを組んでいいのか?と思って。
志磨:
うんうん、そこははっきりしないとね。
■はっきりしないと、なんか嘘くさい気がするので。
志磨:
なんだ結局、仲良しかよみたいな。
■ただ、さっきの話からすると、お互い、言いたい事は言い合ったようですね。
志磨:
だから下北沢と青森のライヴで、どうやら想像してた“ドカドカうるさいR&Rバンド”なツアーではないと(笑)。イバラの道やと。そこから名古屋、大阪も廻ったけど、暗雲たちこめるというか……。
■そこで何か変えて行ったんですか?
志磨:
僕らは何も変えてないです。曲順もずっと同じままで。変えると余計ダメになると思って。途中にイレギュラーなライヴが京都磔磔であって。去年のツアーで骨折しちゃって、他は振替公演したけど、そこはおとぎ話とQomolangma Tomatoとで3バンドで演る事になってたのができなくて、去年は2バンドでやって、それが盛り上がったという。そこはもう一回、ちゃんとやらんとなぁと思ってて。その3マンを1年ぶりに実現させてたんです。そのライヴが奇跡的に素晴らしいイベントになって、そこでちょっと音楽に救われた。僕もそれまで頭デッカチになってたんですね。お客さんは何を望んでて、僕らを何を応えられるか?とか考えてたのが、そこで一回、フラットになって。東京に戻って来て、だいち君に会って。
だいち:そこで「どうなってるんだ?俺の愛した毛皮のマリーズはどこへ行った?」と(笑)。
志磨:もう懇々と何時間、説教されたか。
だいち:4時間以上、話しましたね。
志磨:最初、一緒にやった時の話とかから……だいち君は毛皮のマリーズを、志磨遼平を一番よく解ってると思う。
■去年の『夏の魔物』のヘッドライナーに抜擢した程ですからね。
志磨:
それだけ期待してくれてたから、「この有様はなんだ!」と(笑)。そこで初めて客観的な自分像を知って。僕は自分でスゲー!とか思える程、思い上がり強くないですから。
■でも志磨君は客観的に自分を見れる人だと思いますが。ある意味、何でもできるというか。
志磨:
はい。おっしゃる通り、僕はよく「自己プロデュース」って言うんですけど、そういうのが僕は本質的に好きなタイプで。例えば、シニカルな人を食ったようなのは好きなんですけど、人間みんな、最近起こった出来事が関連するじゃないですか。いざこざがあった者同士が、紆余曲折経てタッグを組むだとか。以前は、そういう面白がり方もあったと思うんですが、今はそういうのがタブー視されているような……「騙された!変わった、クソだ」とか「もう二度と観ない、聴かない」ってなる。
■多分、本質が伝わるのが面白いか?面白くないか?で言うと、面白くないとしか捉えられてないと思いますね。
だいち:
そう。そこで色々と想像力を働かせて考えるのが、ファン視線じゃないですか。そこが欠けているというか。
志磨:例えば、毛皮のマリーズが素晴らしいと思ったなら、その毛皮のマリーズを自分でやった方が面白いと思う。だいち君とかは自分でバンドやってるけど、カッコいいロックンロールという明確な像があるなら、それを自分でやってみればいいんじゃない?って。僕達がバンドを始めた理由も、きっとそうで。だいち君がフェスを始めた理由も、きっとそうで。そうじゃなくて「私が心から愛した毛皮のマリーズはもう帰ってこないんですね、さようなら」みたいなのって(苦笑)。
■それはあまりにも儚いですね。
志磨:
いったい何だったんだろう?ってなる。そんなことをゴチャゴチャ考えてましたけど、だいち君と話してスッキリしたわけです。その2日後ぐらいに仙台に、だいち君も「俺も行く!」ってなり。そのライヴがお客さんとバチバチの感じで、同じ曲を演ってもテンション違うし、ライヴハウス自体も灼熱地獄だったし。その京都と仙台が大きくて、そこから先は僕達は最高になりました(照笑)。ひとつ確信を得て演奏できるようになりました。そこからはお客さんの反応も違って。結局、ふり出しに戻るという。僕達は昔、とても自信過剰なバンドだったんですよ。それは、だいち君に言われて気づいたんです。ヘタくそで、売れてもない、お客さんがいるわけでもないけど、とにかく世界で一番カッコいいバンドだと思ってやってましたから。もしかしたら僕らの魅力って、そんな部分かもしれない。アルバム毎に音楽性変わりますから。何が一貫してるかって姿勢ですよね。そういう意味で、僕達は何かしらのシンボルだったというか。
だいち:そうなんですよ。青森でWAYBARK、Mr.Freddie&The Mercury devilと3マンやった時、事前に「毛皮のマリーズは生まれ変わった。昔の曲は一切演らない」とか言ってたの知ってたから、俺達はもう、毛皮のマリーズより盛り上げて、爆発させて志磨さんを怒らせてやろう、生まれ変わったことを後悔させてやろうって、MCでもこんなこと言ったら怒るだろうってこともしゃべって。そしたら、きっと毛皮はやってくれるぞ!って2バンドで燃えてたんですけど、本番に臨んだら、マリーズのライヴが全然伝わって来なくて。アンコールで(Mr.Freddie〜)のミックがリクエストした“クライベイビー”を演って、それが一番盛り上がった(笑)。
志磨:それで、さっき言った「昔の曲は好きかー?」ってMCなんですよ。
だいち:ライヴ終わって「どうだった?」って聞かれて、初めて言葉にできない感想っていうか。ふり返っても、悲しい顔をしてる人や泣いている子の方が多かったし。新規のファンには届いた、いいライヴはしてるんですけど、両方唸らせないとダメじゃないですか。それが仙台ではどんなファンにもカッコいいと思わせる完璧なライヴで、リキッドもそうだったし。
■僕が思うに、だいち君の凄い部分って、行動力がある部分はもちろんだし、「これは本物か?ニセ者か?」って察知する能力が、同じ世代のロック好きの人よりも秀でてると思う。無意識に。そんな能力を測る人なんかいないかもですが、そこの感覚が鋭いなぁと。前に取材した時に「一昨年の『夏の魔物』に、プロモーションで来てるバンドがいてガッカリしたし、それならやりたくない」って言い切った感覚も凄いなぁって。だから志磨君にもそうやって言えるんだろうし、無難な事を言ってれば上手く回るのに、そうじゃないっていう。そう言える2人の関係性もいいなぁって。
だいち:
ただの馴れ合いっていうのは嫌で。お互いが意識し合える存在じゃないと、意味無いじゃないですか。せっかく、こうやって初期の頃から観てて。それが続いてきたのが、ちょっとあやふやになって――最近有りがちな、音楽的じゃないバンドっていうか。
■まぁ広く浅く受けるようなバンドもいますね。
だいち:
毛皮のマリーズはそこを変えていけるバンドで、メジャーでドン!と行ったのに、なぜこれだ?っていう。いちロックファン的に、そこにドンと居る志磨さんを見たいと思ってたから。
■志磨君、言われっ放しですが。
志磨:
今のご時世、インディーもメジャーもそんなに変わらないって言われて久しいですけど、意外とメジャーから出してるバンドっているんですけど、外向きにそんな変化が無くて、単にメジャー流通になっただけで。
■逆に隠したがる人もいますからね。
志磨:
そうそう。例えば、露出はそんな多くなくてもいいとか、顔を出さないバンドもいっぱいいる。取材とか受けず、ライヴとレコードだけとか、ストイックで凄いなと思うんですけど、僕らが憧れたロックンロール、モンキービジネスって、お茶の間に出てドカーン!とやるとか、雑誌で誰かとバチバチやり合うとか、何だっていいんですよ。スキャンダルがあったりとか(笑)。そういうのもロックンロールのひとつの要素として愛してたわけで。
■ロックのダイナミズムですね。
志磨:
そういう事も無くなったし、別に着てる服装も変わらないとか。でも僕はロックンロールを愛した人間として、僕のやってるバンドがデビューするって時、まずやらなあかん事って、もうメチャクチャ変わるって事。あからさまにメジャーっていう。
■それは敢えて、意識してそうしたと?
志磨:
もちろん。ただレコードの内容は意識してないですよ。
■昔からの曲もありますからね。
志磨:
そう、だから(1stアルバムの)『戦争をしよう』より前の曲もあるので。時系列で言えば、今回のアルバムは一番最初って言える。で、レコーディングにはガンガン金かけてもらったし、アーティスト写真とジャケットは信藤三雄さんというトップの方に撮ってもらって。ステージだって派手にするし、テレビにも雑誌にもガンガン出たし、こうやっていかなきゃって思ったから。僕もだいち君も好きなバンドは、ほとんど一緒のバンドを聴いて育ったので、例えばステージの高い所から飛び降りたり、ステージで骨折するとか。僕ら、骨折経験者ですから(笑)。ライヴの途中で「気分じゃないから、帰るわ」とか。
■あ、それはロックスターっぽいですね。
志磨:
ライヴハウスの中での伝説の作り方というか、カッコよくサヴァイヴする方法を、僕達は先輩からいっぱい学んだんですけど、でも誰も馬鹿みたいには売れなかったんですよ。だから毛皮のマリーズがやる事としては、カッコいい売れ方をみんなに教えてやらないとって思ってます。カッコよく馬鹿売れするっていう。
だいち:そこで俺は思ったんですよ。メジャーでこれだけ金かかってんのに、志磨さんの良さは一個も出てねぇと。
志磨:んんんん(苦笑)。
だいち:アルバムは今の日本のロックの中でもアーティスト的っていうか、ある意味、海外のアーティストみたいに毎回、アルバムごとに色があって、作品として良いモノを出してて。志磨さんの自己プロデュース能力をずっと見てるわけで、それでメジャーに行ったんですけど。大事なのはアー写、ポスター、CDのジャケ、内容、ライヴ、PVも全部リンクするものじゃないですか。それが今回はリンクしてなかったんですよね。毛皮のマリーズはどこに向かってるんだ?って、いちロックファンとして思った。志磨さんは、もっとできたはずなのに、なんでこだわらなかったんですか?って話も2時間ぐらいしました。
志磨:したした。やっぱ鋭いんですよ。僕は今まで全部やってきたんですよ。ジャケットもアー写も、PVも自分で監督しましたし。写真はカメラの横に立って、構図から全部やりますからね。
だいち:昔、Tシャツも全部志磨さんが作ってましたよね。あれ、やめたんですか?
志磨:ううん、“ズッキュン(Tシャツ)”は僕で。他は違うけど。
だいち:やっぱり“ズッキュン”は志磨さんなんですね。あれだけ良いですよ(一同笑)。てか、なんでそれもやめるんですか。
志磨:だからメジャーに行って何が素晴らしいかって、例えばビデオを作りたいって言ったら、シナリオ書いたり編集に立ち会えるけど、僕にはスキルもお金もコネも無いからデカいロケとかはできない。これまでは発想でどうにかするしかなかったけど、メジャーだからガンガン金かけられるし、それでトップにのし上がった人と仕事ができる。それはひとつの醍醐味。それがカッコいいか、カッコ悪いは個人差があるだろうけど。
だいち:でもその志磨さんのヴィジョンを具体化できる人がいれば良かったんですけど、そこにズレというか、その人達は毛皮のマリーズを解ってなかった、このバンドの良さをちゃんと理解してなかったんじゃないかと思ってて。
■それは、だいち君が毛皮のマリーズを愛してるからだと思う。
だいち:
まぁそうなんすけど(笑)。

ちゃんとしたロックが売れないとダメなんですよ

■THE WAYBEARKの話ですが、だいち君もやろうとしてるベクトルは、志磨君と同じですよね。
だいち:
そうですね。
■方向性がメジャーの展開というか、だから2人とも言ってみれば清志郎さんの子供。そういう遺伝子はあると思う。だからWAYBEARKの満を持しての1stアルバム『MY GENERATION』は、そういうロックをやりたかったのかなぁって。
だいち:
そうですね。やっぱり先輩方に教えられた事をやってやるっていうのと、自己プロデュース能力じゃないですけど、俺の好きなロックンロールをファンに提示して「これがロックなんだよ」って、もっと解ってほしいというか、そういう入口を担っていると思う。そこから各自で探して、ルーツを辿ったりしてほしいし。日本のロックバンドなんていっぱいいるんですけど、シナロケとかルースターズまで行かないというか、例えば、黒猫チェルシーが好きでも、INUとかスターリン聴いてる子なんて数えるぐらいしかいない。そういうのが今、無くて……マリーズは入りやすいはずなのに、メジャーであんだけやってるんだから、みんな意識してアンテナ張ってくれさえすれば。今なんて、俺達が中学・高校の時と違って、家でYouTubeやMySpaceで調べられるじゃないですか。
■うんうん、簡単になってる。
だいち:
もう答があるというか。俺達の時は先輩とか、友達のお姉ちゃんからCD借りたりとか。通販でジャケとかも見れずに買ったらハズしたなとか、ある意味、修行っていうか。今の子達は恵まれている。今はTSUTAYAだって有りえないぐらいロックを置いてるし、入って行ける状況が揃ってるのに、この状況はおかしい。娯楽が増えたのかもしれないですけど、ロック人口は逆に増えたとは思うんで。
■各地のフェスにかなりの人が集まるわけですからね。ただ、出演する側は場所は多くなった分、目新しさは無いですが。
志磨:
金が無い奴も、ちょっとした伝説を作るなら、例えば、ライヴで血まみれになったり、骨を折ればいいんですよ。客とかブン殴れば少しは話題になるし、変な曲を作って、それを〈ニコニコ生放送〉で中継すればいい。お金が無いなら、YouTubeもMySpaceも無料だし、何だって方法はあるんですけど、それでもアカンなら新聞の一面に出たり、TVにもガンガン出てみる。やっぱ僕らが出ていかなあかん。だからつまり、気合いと忍耐ですよ。根性でもいい。――だいち君と僕が、清志郎さんの遺伝子があるとおっしゃいましたが、もちろん2人とも清志郎さんは大好きですけど、ファロワーっていうのは一瞬、違和感があったんですね。もちろん僕達は光栄なんですけど、時代が違うんですよ。例えば、大昔の画家とか芸術家は、お金が無かったらお金を出してくれる人がいて作れたわけです。それが今は正反対、もうお金が無いなら、頭を使えば何でもできるツールとかネットワークはある。で、フリーダウンロード、無料視聴だとか、どんどん無償化していくじゃないですか。
■どんどん安っぽくなってきてますね。
志磨:
そこでお金をバカスカと、しょうもない事に使う。ロックンロールなんてしょうもないですからね。例えば、車とかもそうなんでしょうけど、風の抵抗を無くして要らんもんを削ぎ落としていったら、丸っこい車になる。でもゴツゴツの無駄な車の方がなんかカッコいいじゃないですか。やっぱエレキギターって、無駄なもんが全然減らないですよね。無駄に重いし、スイッチいっぱい付いてるし、ファイヤーバードなんか立たへんし、でもそういう文化なので、そんな部分にお金を使うっちゅうのは景気良くなります、きっと。だから僕らはカッコよくドカーン!とバカ売れして「金をかけて売れるっていうのは、こんな痛快で面白い事なのか!?」っていうのをやりたい。ここ10年ぐらい誰もやってないので、多分、だいち君がやりたい事もそうじゃないですかね。
だいち:ちゃんとカッコいいものが売れるっていう。マーケティング理論とか、こうやったら売れるじゃなくて、ちゃんとしたロックが売れないとダメなんですよ。じゃないとロックは続いていかないんで。2〜3年はいいかもしれないですよ。今の層に届く、今の層向けのプロモーション・プランもできあがってるじゃないですか。どこどこのメディアに出てとか。そんなのはそこの人達にしか届かねぇぞと。例えば、どこの地方でも騒がれるような。青森のレコード屋にヒロトが来たってなったら、青森じゅう大騒ぎになりますから。それぐらいになるには、そうじゃねぇだろ?って、マリーズを見てて思った。あのNHKの『MUSIC JAPAN』に神聖かまってちゃんが出た時、凄い事やったじゃないですか。その後にその番組に出たマリーズは、もっと凄い事やると思ってたけど、アレ…?となって。ああいうアイドルとかが出てる場に出て、そこで見せてほしかった。例えば、ミッシェルが『ミュージック・ステーション』でやったり、ハイロウズが出た時とか、清志郎さんが『笑っていいとも!』でバーン!と歌ったりとか、俺はそういうテレビの中のロックスターを見てきてるので。そういうのがロックしてる!と思ったんで、マリーズが地上波に出るんでテンション上がったんですけど、肩すかしを喰らった(苦笑)。
志磨:違うねん、違うねん。だってそこでムチャすると、『紅白(歌合戦)』に出れんやん。
だいち:あー、なるほど(笑)。
志磨:『紅白』でやらんと(笑)。
だいち:そうっすよね。このやり取りだって、凄くロックしてると思うんですよ。この面白味が伝わるか?って、このニュアンスを今の若い子は楽しめない気がする。
■2人はもちろん知識もあるし、あと若年寄だと思う(笑)。
だいち:
まぁそれはありますよ(笑)。
■ただ今のやり方、感覚は持っている。『夏の魔物』も最初に知った時は違和感みたいな、青森の十代の子が何やってんの!? っていうのに驚かされたし、去年も「俺もマリーズ好きだけど、ヘッドライナーでいいの?」っていう。そういう感覚でのやり方が今までと違うし、そこが面白いし、期待ができる部分です。
だいち:
なんか「ベテラン集めて、はい」っていうのは結構、有りがちじゃないですか。そうじゃなくて、後に続いていくものであって、今のロックファンに、今のロックンロールをちゃんと見せないとダメだし、そういう意味で、今一度、ロックとはなんぞや?って思ってもらって「やっぱりこれがロックなんだ」とか、色んな人が、その人のロック感を思い出したり、目覚めたりっていう場が『夏の魔物』だと思う。
■2日間開催も、結果的にああなったんですよね?
だいち:そ
うです。ああしようって考えたわけじゃなくて。
■最初、1日目もそんなにガッツリじゃなかったと思いますが、いつの間にかガッツリと。
だいち:
もうどんどん決まって。やるなら徹底的っていう。もう妥協してとか、こうやればお客が入るとか、一回考えた時もあったんですけど、今はもう全然無くて。お客さんは9割が県外の人なんですけど、何のためにロックを感じに来てるのか?っていうテーマがあって、ストーリーがあってというフェスなんて聞いたことないと思う。それはライヴでも言えるんですけど、それがやりたいんですよね。そして家に帰った時、出てたバンドのアルバムの聴き方とか、ライヴをふり返った時とか、今みたいなファミレスでの話とかも、みんなの大切なモノになると思うんですよ。そこまでの過程が大事というか。まぁ(青森の)山奥に来たらテンション上がるじゃないですか。
■ロケーションもいいですからね。『夏の魔物』の場合はステージと向き合うしかない。まぁ1ステージしかないのもあるけど、それが真っ向勝負してる感もあって。
だいち:
そうですね。バンドとお客さんの勝負というかバチバチ感っていうのは、フェスだと今、あまり無いじゃないですか。ショウケースというか。そうじゃなくて、本当のロックファンが、目の肥えた奴らが全国から集まる。そうなったら出る方も本気出すじゃないですか。出順も意識するだろうし。いちロックファンが見たい感じ。馬場と猪木が闘えばみたいなノリ、そういうのが見たくて出順とかも考えてます。

誰しもが憧れるロックンロールを取り戻す

■そこでアルバム『MY GENERATION』の話に戻りますが、志磨君、アルバム聴いてどう思いました?
志磨:
そうだなぁ。僕もWAYBARKを5年ぐらい見てるんですけど、やっぱり日本語をちゃんと使ってる。そういう部分はだいち君も僕も、清志郎さんが好きっていうのは、もちろんそうだし、歌の中ではっきり言葉が聞こえるっていうのと、さっきの話と矛盾するわけじゃないですけど、無駄なモノが無い。ロックに関して、凄くストイックなアレンジと演奏っていう。……人を褒めるの苦手だから(一同笑)。
■僕が思うに、中高生が夢中になれそうなロックをやってるなぁと。凄くピュアな中高生ですけど。
志磨:
間違い無いというか、添加物が無いというか、100%の有機野菜のシンプルな料理。野菜に塩かけて食って旨いっていう(笑)。健康的やなっていうのはありますね。
だいち:ロックファンは、ロックを好きになった最初の頃を思い出してほしいし、一般の人というかロックを聴いたことない人が「ロックだね、これ」ってなれば。とにかく「ロックだ」って言葉を引き出したい、ロックを感じれるアルバム。今、ロックファンじゃない人でも届く、聴けるラインのロックって難しい。でもロックファンの数を増やしていくためには、そういうバンドがメインにいて派生していったと思う。10年ぐらい前までは、そのバランスがとれてたと思うんです。メインにハイロウズ、ミッシェル、エレカシとかがいて、他にゆらゆら帝国、ナンバーガール、イースタンユースがいてというバランスが良かったんですけど、今はゴチャゴチャで訳が解らない。その辺の人だと「ロックって何?」って感じだし、特に今の高校生なんてロック聴いてませんからね。俺、文化祭でゲストで呼ばれて行った時に、在校生とセッションしてくれって言われたから「じゃあ、“リンダリンダ”でしょ。みんな知ってるし、高校生なら“リンダリンダ”でしょ」って。で、全校生徒の前で演ったにも関わらず、知ってる人があまりいなくて。「ブルーハーツ知らない」とか、何だこれ?と思って。高校生の時にブルーハーツ聴かなくてどうする? ブルーハーツ知らなくてもクロマニヨンズ知ってるなら解るけど。これはどこの地方に行ってもそうだと思うんですよね。今、バンドをやってる若い子って、band apartとか聴いてる子が難しいのを一生懸命演ってるんですけど、なんかシンプルなバンドが減ってて。で、マリーズは“ビューティフル”出して以降、地方廻ると志磨さんのモノマネしてる人が出てきたんです。
志磨:いいじゃない。
だいち:やっぱこうだなと。こういう時代にしていかないとダメだなと思って。もう志磨さんみたいなカリスマ性があって、そこら辺歩いてるだけで「あ、ロックの人だ」っていうのは志磨さんに任せといて(笑)、俺はそういうのじゃなくて、一般の人でも聴きやすいような、カラオケでも歌えて、車でも家でも聴ける。1人でもみんなでも聴ける。クラスの友達の家に行くと「ロックでいいのあるよ」って1枚になれば。それで¥1000にして、もう数を増やしていこうと。このアルバムが入口で『夏の魔物』を見に来たら、ロックンロールはこれだ!って解るから、とにかく俺に2日間くれ!と。人生変えてやるからってぐらい思ってますし、そうしていかないと、この国のロックは、どこに向かってるか分かんなくなっちゃうんで。
■僕はいつも、だいち君のその使命感が凄いなって思うんですけど、もう向かう所がはっきりしてて。その使命感たるや、何ですかね?
志磨:
ねぇ、若いのに。天命を見つけたような、それをやるために生まれてきたような。今回、5年目でしょ。最初に『夏の魔物』を開催した時って、僕はテレビもパソコンも無くて、もちろん新聞もとってなくて、ただの引きこもりやったんですけど、バンド仲間の友達はいたんで、そういう人達から情報は入ってくんの「なんか、高校生がロックフェスやって、シナロケとか出るらしいよ」って。「噂によると、その子はアーティストや事務所に電話か手紙で直接連絡してて、なんか家族でやってるらしいよ」って。1回目から錚々たる出演者で、1人で全部やってて。スゲーなぁ!と思った。――だいたいそういうのは興行主がいましてね、大きくなればなる程。会場を押さえるのとかでも、小さなライヴハウスじゃないですから、町の自治体の話で、ちょっとした政治ですよ。アーティストもデカくなればなる程、単純にスケジュール空いてるだけでは動きませんから、色んな所にお金払って、やっと始まるような話を、本当に善意で可能にし、開催してしまった!っていうのが、ロックに携わる人はショックだったんじゃないですかね。それで行ける?って、誰もが最初は思うんですよね。例えば僕等が凄くカッコいいCDを作って、ヒトロ&マーシーとかに偶然会えた時に、CD渡して「お、君達カッコいいから、俺達の前座しなよ」って言われ、出たら主役食っちゃって、もう次の日からスターなんじゃない?って誰もが思うけど、どっかで諦めるじゃないすか。大人になればなる程、そんな事は起こりうるはずがないって思うんですけど、そんな事が本当に起こってしまったっていうのは、あからさまに事件で、それをまぁ5回も。ここまで来たら立場も逆転ですよ。『夏の魔物』に出たいアーティストの方が増えるぐらい。っていう意味で、やっぱだいち君は凄いっすよね。
■しかもファン目線でオファーをしてて、尚かつ、ほとんどボランティア・スタッフで成り立ってるという。
だいち:
まぁ舞台(周りのスタッフ)は違うんですけど、もぎりとかはボランティアで、やっぱり主旨が解ってる人じゃないと。いっぱい失敗もして、結局、このフェスをやる上で、一番大切なとこって、ロックを解ってるか?解ってないか?の部分で。まぁあんなバンドを集めたら何が起こるか分かんないじゃないですか。やっぱそういうバンドを知ってる人じゃないと、その時に対処もできないし、その主旨とかコンセプトを、スタッフでも解ってないと。一緒に何か創るって、CDでも何でもそうで、みんな一致してないと一緒に頑張れない。どっかでブレたり、ニュアンスが伝わらなかったりして。フェスやって5年目ですけど、今、集めてる人も主旨とかを理解してる人以外は集めてないので。
■去年、見てて思ったのは、スタッフの方も出演者も含め、会場の気運が高まってたのが印象的で。出演したバンドも出て終わりじゃなくて、みんなその辺にいて、全員が進行具合を気にしてるような(笑)。
志磨:
そうそう(笑)。
■MCのアントーニオ本多のやり取りや言葉すら、みんなで共有してる感じとか良かった!
志磨:
ねぇ、あれは毎年素晴らしいです。
■他のフェスでは、みんな一緒になって見守る感じは無いと思うので。その共感する部分は、やっぱり行ってみないと解んないと思う。
志磨:
ほんま、あれは『夏の魔物』だけだよね。あと楽屋口の受付が、だいち君のおじいちゃんお婆ちゃんなんですよ(笑)。
だいち:でも、おじいちゃんはヒロトとマーシーは知ってますから(笑)。
■それ、いい話ですね。元々、そうさせる何かがあったんですかね。
だいち:
俺がキッズの時、雑誌で見た初回の『RISING SUN(ROCK FESTIVAL)』のバックヤードの写真が、この人とこの人が一緒に観てるとか、一緒に飲んでるとか、あれがもうロックファン的にワクワクして。これを「いつか、うちのフェスで」って光景を見たくて、まぁ毎回、そうなってるんですけど。鮎川さんがあふりらんぽを観てたりとか、(ゆらゆら帝国の)坂本さんと(イースタンユースの)吉野さんが並んで三上寛を観てるとか、もうゾクゾクするじゃないですか。そういう舞台とか逆に今、そんな無いと思うんで。
■つまり、普通のロックファンの意見ですね。
だいち:
そこですよね。いちロックファンが見たいモノを提示するという。でも今の子達は特に、このロックファン感覚が無い。
■あと、だいち君はそんな商売として考えてないですよね。野望はあるけど、たまたま成立してるというか。もちろん本人は色々と考えて、苦労はしてるでしょうけど。
だいち:
そうですね。たまたまとしか言いようがないんじゃないですか。メンツもそうだし。
志磨:だいち君の人柄ですよ。だいち君が、そう言うんだったら、青森まで行くって。
■僕もそうでしたね。ただ去年行って思ったのは、辿り着くまでがハードル高いなぁと。行くまでの距離と地球村のアクセスの悪さ(苦笑)。
だいち:
はい(笑)。でも、初回の『RISING SUN』も同じだったと思いますよ。あそこに行って、何か目撃しに行きたい。体感したいというのが全国から集まったというのと、似てると思うので。あれをみんなに思い出してほしいし、そういうのを解らせたいし、やっぱ現場にいて、生で見た事を自慢できるじゃないけど。
志磨:ずっとやってたら聖地になるかも、ウッドストックとかハイドパークみたいな。地球村って名前もいい(笑)。
■確かに、地球村って名前もいいですね。
志磨:
「俺もいつか地球村で演りてぇなぁ」って。『夏の魔物』に出るっていうのが、若いバンドの一個のステイタスになればいいのにね。『夏の魔物』でトリをやったる!っていう。これは実現可能なんですよ。だいち君は、さっきから言ってる綺麗事だけで脳内ができてますから(笑)。例えば、カッコいいバンドがCD持って来て「ちょっと聴け。今年のメンツ何なん? 俺らの曲がバーン!と来たら、全部OKやから、俺ら最後に出せよ」って言っても、ほんまにカッコよかったら、この子はやりますもん。そういう登竜門になればいいなぁって。
だいち:ある意味、なってきてる。特に今年の1日目は、半分は挑戦状を叩きつけて来て「2日目は年寄りしかいねぇじゃねぇか!まぁマリーズとかかまってちゃんとかミドリとか出てるけど、俺達の方がロックしてるぞ!」って奴らが半分ぐらい。あとはライヴハウスの『夏の魔物』に出てたバンド、今まで出したかったバンドを。なので1日目は2日目よりも、みんな野心に満ち溢れてる。ギラギラしてて、何が起こるか分からない。トラブルも多いんじゃないかって。
志磨:ケンカとかになればいい(笑)。
だいち:BOHEMIANSとかそうだけど、血走った感じというか、それはやっぱロックンロールをやりたての頃にしか出せないというか、マリーズとかが2日目に出てて目標になってるのも、流れ的に凄くいいと思うんですよね。そういうバンドが一挙に集まるっていう。例えば、黒猫チェルシーとMirrazが対バンするとか有りそうで無いじゃないですか。きっとファン層は一緒かもしれないですけど。そこに更にワッツーシゾンビみたいな良いライヴバンドが並んだ時に、もしかしたら化けの皮剥がされるし、盲目的なファンの目も覚めるんじゃないかって。そういう場をいつか作りたいと思ってて、こうなったらフェスでそれをやっちまえばいいんだなと思って。
■分かりました。そして今、2010年代のロックンロールは『夏の魔物』が独占すると。
だいち:
これから俺達が、良い時代にしていきますよ。
志磨:うん、そうだね。
だいち:未来が見えない感じになってきてるんで、俺達2人を見てれば、絶対良い未来になっていくし、ロックがもっと良いモノになっていくし、先輩方に受け継がれた、最初のRCでもルースターズでも頭脳警察でもいいんですけど、そこからずっと受け継がれ続けていたバトンが止まってるだけで、そこを引き受けて、俺達はロックをちゃんとやって、広めていきますよって。ここからもう引き下がれない。
志磨:そうだね。だって世渡り上手な礼儀正しい人を、大きい企業が拾って、会社が回して順調にビジネスが進むって、ただの就職じゃないですか。じゃあ、あぶれた人って何をやればよかったんでしたっけ?ってことですよね。やっぱ、そういうのを我々が。
だいち:誰しもが憧れるロックンロールを取り戻すってことです。
志磨:意味が無くなってきてるんやったら、それはちょっと危ないから。
■とにかく8/20、8/21にまずは地球村に来いと。
だいち:
来たら、もう人生変えるぞと。忘れられないような――最終的には志磨さんが完全に世代交代しますよ。
志磨:そこは投げんねん(笑)。
だいち:いや、去年できなかったんで。去年のマリーズは良かったんですけど、ベテランの凄さを見せつけられて。今いち、世代交代が観てる人に伝わらなかった部分があるから。言ってそうなるものでもないんですけど、もうちょっと意識してほしいというか。今年はマリーズがシナロケの前に、ヤバい事やって、メチャメチャ盛り上がって。そこで伝説が成り立つというか、仕掛け人としてはそこが見たいですね。


Interview&Text : 田代 洋一