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オワリカラ始まる新たなる世界──。
1stフルアルバム『ドアたち』リリース。
「レッドツェッペリンみたいに、ひとりひとりがバンドを引っ張っていけるくらいのパワーあるミュージシャンが4人も集まった」ようなバンドを組みたいと考えていたタカハシを主導に、それぞれ違うバンドをやっていたメンバーが集まり、2008年に都内で結成したサイケデリック/ニューウェイブバンド=“オワリカラ”。活動開始以来、200本近い凄絶なステージで時代の注目を集め、今年5月にはandymoriらと共に10日間のカナダツアーを敢行──そして、今回、初の公式音源となる1stアルバムがリリースされるのだが、”オワリカラ”とは一体どんなバンドなのか──タカハシに訊く。
■カッティング・エッジな、素晴らしい作品が完成して。
タカハシ:自分らでも大満足してます。いいものが出来ました。自分たちのやりたいことができた上で、聴いた人にもちゃんと伝わるアルバムにしたいな、と思ってたんですけど、それが出来たんじゃないかな、と。
■今おっしゃってた “やりたいこと”について今日は具体的に色々と聞ければなと思ってます。宜しくお願いします。
タカハシ:そうですね。お願いします。
■えーっとまず、7月にオワリカラ主宰で『TOKYO NEW WAVE 2010』というコンピレーションをリリースされてますよね。“TOKYO NEW WAVE”という言葉は、オワリカラの音楽性とリンクするものだと思いますが、どういう由来で?
タカハシ:僕らは新宿を中心に活動しているんですけど、僕らや、僕らの周りにいるバンドは、何をやっても“都市の音楽”だなと思ってるんですよ。絵空事の都市ってよりか本当に僕たちの前にある街の音楽というかというか……。今、そこで生きていること、感じていることを歌っているロックバンドなんですよね。例えば、野外フェスには、日常とは違う非日常を求めている人が多いと思うんですけど、僕らはこの日常の中に何か美しいものがあると思ってるし、出来ればこの日常に寄り添ってるロックバンドがやりたいな、と。つまり、“ここではないどこか”じゃなくて、“ここをちゃんともう一回見る”ことをやりたいというか──そういうつもりで、敢えて“TOKYO”という言葉を入れて。
■もっとリアリティのある音楽というか……。でも、なぜそういうことを表現したいと今思ったんですか?
タカハシ:……なんでなんでしょうね(笑)。すごく簡単な話、僕たち20代のインターネット・YOUTUBE世代って良くも悪くも、いろんな事を簡単に知れたじゃないですか。例えば伝説と言われてることの裏側もすぐ知ることができたりするし、真実か真実じゃないかってことも分かるし。それはお客さんもそうだと思うので、そういうことを全部踏まえた上で、どういうことをやるかっていう時期がきてると思うんですよ。ある意味、フラットな感覚で生きる時代というか、原始的な時代というか……。その中で何が出来るかなってことを考えて、こういうアルバムを作りたいなと。
■では今作の制作はどういう気持ちで挑んだんですか?
タカハシ:「とにかく今のまんまやろう!」と。このアルバムは、アルバムの為に曲を作ったっていうより、2年間ずっとやりたい事をやってきたものの集大成っていう感じなんですよね。だから、何にも足さないし何にも引かないでやりたいと思って。このアルバムを聴いて楽しめた人はライヴも楽しめるものにしたいと思ってました。2010年のオワリカラの空気も全部入ったと思いますし。
■同時に、2010年の空気感みたいなモノもありますよね。
タカハシ:そうですね。『ドアたち』ってタイトルをつけたんですけど──例えば、10代の若者がこのアルバムを聴いて、新しい何かに出会うきっかけになったりしたらすごくいいなと思って作ったんですよね。僕にとって音楽はそれなので、新しいものに出会ってく──ドアみたいなものを開く感覚で音楽を聴いて欲しいなと。
■なるほど。タイトルはドアーズも関係してるのかな、と。
タカハシ:それもあるんですけど──僕は、サイケデリックロックに影響を受けてるんですけど──サイケデリックロックっていうと60年代のロックっていうイメージにとらわれやすいと思うんですね。でも、「サイケデリックロックってこういうモノ」っていう意味付けは後からしただけで、当時の“新しい音楽”を指してたんだと思うんですよ。その当時の若者にとって何か新しい感覚を与えてくれるもの、新しい出会いがあるものが本来の意味でのサイケデリックロックだと思っていて。で、僕たちは2010年式のそういう新しい音楽をやりたいって思ってて。2010年の若者にとって聴いて新しいと思えるような、本来の意味でのサイケデリックロックっていうのがやりたいんです。
■本質的なとこですよね。ジャンルではなく、精神性としてのサイケデリック、感性としてのニューウェイブというか……今作ではそういうことを体現してると思います。
タカハシ:そうそう。もっとコアな部分というか……。ジャンルとかそういう重たい意味じゃなくて、フラットな意味での、みんなにとって新しいロックみたいなのがやりたいんですよ。だから、歌と言葉凄くこだわってます。
■音楽的には凄くポップですよね。例えば、「怪人さん」は江戸川乱歩や、TACOの山崎春美さんの名前が挙がってる曲ですが──「らんぽ〜♪」とファルセットで叫んでるという、物凄い異質な曲にも関わらず(笑)滅茶苦茶ポップに歌い上げていて。ポップなメロディーというのは常に意識されてますか?
タカハシ:あの曲は凄く気に入ってます(笑)。確かに、凄くポップだとは思ってますね。僕、フォークソングがすごい好きで。日本の音楽だと、あがた森魚さんとか、井上陽水さんとか……本当に歌と言葉だけで、ものすごく新しいことをやれてるじゃないですか。オワリカラもそういうバンドでありたいと思ってるので、シンプルで美しいメロディーというのは常に考えてますね。
■曲は基本的にはセッションで作っていくんですか?
タカハシ:ハイ。今“考えてます”とは言いましたが、本当に直感だけで音楽は作ってます。何も決めずにひたすら演奏して、その中で一番気持ちよかったモノを選ぶ感じです。だからあまり緻密には作らずに「今のフレーズ格好よかったから使おうぜ」みたいな(笑)。
■らしい作り方ですね(笑)。ところで、さっきこの時代を“原始的な時代”っておっしゃってましたけど……。一昔前ならロックシーンにも“サブカル”って言葉があったけど、今はそれも線引きが曖昧な時代じゃないですか。
タカハシ:ハイ。本当にそれは思いますね。
■そういう時代が終わりを告げた中で、今後オワリカラはどういうバンドになりたいのか、どういう音を鳴らしていきたいのかを改めて聞きたいです。
タカハシ:それは毎回インタビューで聞かれるんですけど、一言で言うのは難しいですね。ただ……僕は、さっきも言ったけど、若い人たちの新しいドアを開ける存在ではありたいなと思ってるから、“新しいものがきっとどこかにあるけどどこにあるのか分からない”若者たちに届くような音楽をやりたいと思ってます。
■その気持ちは、ライヴにも繋がってるように思います。
タカハシ:何でも見れる世界だから、現在進行形で起きてるものに勝る価値はないと思ってるんです。だから、僕らはライヴに凄く力を入れてて。ライヴは単純に演奏してて楽しいし……ライヴ会場で会いたいなと思いますけどね。このCD聴いてライブに来てがっかりするようなことはないようにしてるんで(笑)。
■(笑)了解です。ライヴを楽しみにしてます。
Interview&Text : 逆井マリ
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