Rock Stitch(ロック・スティッチ)


あのスティッチとロックがタッグを組んだコンピ発売
雷に打たれたような衝撃の乱れ撃ちで暴れまくれ!!

 ディズニーで上位の人気を誇る「スティッチ」が「ロック」と融合したカヴァーアルバム『Rock Stitch』。15組の参加アーティストがそれぞれの概念でスティッチとロックする爆裂コンピの誕生だ。過去に発売された『モッシュ・ピット・オン・ディズニー』、『ダイヴ・イントゥ・ディズニー』など驚異的なセールスを叩き出し、支持され続けているこのシリーズの担当ディレクター・関口蔵人氏に『Rock Stitch』の誕生秘話を訊いた。

■ディズニー・キャラクターのコンピを数多く企画されていますが、どのような趣向から始まったものなんですか?

「ディズニー・キャラクターがジャケットになっている時点でまずは疑問を抱くと思うんですけど、「誰のCDなんだろう」と手に取ってみたら馴染みのあるアーティスト達がディズニーの曲をカヴァーしてる。この意外な融合って疑問だらけだけど、嬉しいサプライズだと思うんです。対極にある二つを組み合わせるという意外性。普遍的に時代を問わずみんなに愛されている曲をロックでカヴァーするというワクワク感。これがこの企画の趣向ですね」

■今回はスティッチが主役になっていますが、スティッチとロックの融合はどんな発想から生まれたんですか?

「日本のオリジナルでスティッチのテレビ・シリーズがあるんですが、その第2シリーズでthe pillowsとMONGOL800がオープニング・テーマを担当したんです。それを観てて「スティッチでロックしたらおもしろいんじゃない?」と思いついたのがまずひとつ。で、なおかつスティッチはディズニーの中でも自由度の高いキャラクターであるということがすごく重要で、ミッキーマウスはみんなのヒーローで優等生的な存在ですが、スティッチの場合はいたずら好きで暴れん坊というのが特徴であると。これ完全に感覚ですが、「それってロックじゃない?」というのが僕の中にあって、色んな意味で自由度の高いものが作れるんじゃないかと考えたんです」

■映画『リロ・アンド・スティッチ』の中でスティッチがエルヴィス・プレスリーの真似をして歌うシーンがありますよね?元々スティッチはロックと精通してるところにあるというのも重要なポイントになるかと思うんですが。

「そうなんです。リロはプレスリーが好きでレコードをかけるシーンが映画の中であるんですが、スティッチがその音楽を聴いて衝撃を受けるんです。それでリーゼントに白い衣装を着て歌うシーンがあって、その流れで劇中ではプレスリーのオリジナル曲が多く使用されているんです」

■なるほど。それで今作15曲中のほぼ半分がプレスリーの曲なんですね。

「そうなんですよ。the pillowsとMONGOL800はオリジナルなんですが、ほぼ半分はプレスリーの曲です。映画を観てない方には説明不足な部分もあるんですが、プレスリーという存在は必要不可欠なものなので、映画を観ていただいくと「なるほど!」と納得してもらえる内容になっています」

■では、参加アーティストのお話をお伺いしたいのですが、この15組を選んだ理由を教えていただけますか?

「まず、the pillowsとMONGOL800の2組に参加していただくことからスタートしたんですが、それに伴ってこの2曲が同居できるアルバムにしたいと考えたんです。どちらかだけを入れるのであれば、もっと偏ったものになると思うんですけど、たとえば、かりゆし58とかACIDMANとか真空ホロウとかはどちらかというとthe pillowsに近いし、難波さんやLOW IQ 01はMONGOL800に近い。でも、この両方を入れることが非常に重要なことで、こっちを好きならきっとこっちも気に入ってもらえるんじゃないかっていう発見の場であってほしくて、一枚のCDに15枚の試聴機があるという感覚なんですよ。the pillowsと難波さんが入るコンピって無いじゃないですか?そこにACIDMANもLOW IQ 01もいる。これを実現させたのは誰かと言えば、スティッチなわけで。なぜならスティッチは自由度が高くて、暴れん坊だから。だからこそ「HIFANAがいたっていいじゃない?」という感じです」

■SHANK、HEY-SMITH、FATPROP、S.M.N.といった新進気鋭のバンドが多く参加してるというのも新たな発見ができる、まさに試聴機的な一枚ですよね?

「スティッチという名の下に彼らを知ってくれる人が増えてくれたら最高ですよね。オリジナルをまずは聴かせていただいたんですが、カッコいいんですよ。キャリア云々は別として新しい音に触れた時の「うわっヤバい!」という感覚って大切だと思うんです。15曲の中に15通りのカラーがあって、昔憧れたドイツ製の何色も入ってる色鉛筆みたいに、ひとつの色でも何色かに分かれてるような、そんな感覚になる15曲がこの中にはあります」

■アレンジに対してアーティストサイドにお願いしたことってあるんですか?

「今回に限らずですが、いつもお願いすることは「好きにやっちゃってください」ということです。あとは今回はテーマがあったので「ロックしてください」ということと「スティッチと遊んでください」と。個別で言うと難波さんには怒られるのを覚悟で「ハイスタにしてください」とお願いしました。青春時代をハイスタで過ごした僕としてはこのタイミングでそれを聴きたかったので。答えは「いいよ。俺もハイスタ大好きだから」でした。なので一曲目から最後までかなりアガる内容ですよ」


参加アーティスト/楽曲

■01. 難波章浩 AKIHIRO NAMBA- “Hawaiian Roller Coaster Ride”
ハワイアンテイストの原曲を高揚させるあの歌声が吠えまくり、完全ロックで迎える一曲目はHi-STANDARDを愛するファンは元より全音楽ファンに至福の瞬間を与える幕開け。おもわず「スティッチよ、ありがとう」と叫びたくなる奇跡の一曲。

■02. ACIDMAN “Can't Help Falling In Love”
エルヴィス・プレスリー不滅の名曲。原曲の空気感を崩すことなく包容力ある歌声で包み込み、躍動感をプラスしたACIDMANらしいアレンジ。美しさと激しさのバランスが絶妙で、艶やかにドラマティックな演出を自然にこなせる辺りはさすがの一言。

■03. LOW IQ 01 “Devil In Disguise”
イチさん楽曲の“SWEAR”のような感じで!という関口氏からのリクエストがありながらもあがってきたのは、おもわずニヤリとしてしまう某バンド風アレンジ。あえて書かないが、原曲とこの匂いを合体させた遊び心とお洒落感はイチさんならでは。

■04. SHANK “Always”
長崎在住のパンクバンド/SHANKは、映画のサントラに収録されている“Always”を軽快なビートでブレイクの瞬間を与えずに、どんどん加速していく大疾走ナンバーに仕上げている。AIR JAM世代に恩恵を受ける彼らならではの潔いアレンジ。

■05. The Mirraz “A Little Less Conversation”
英語詞もカヴァーもこれが初だというThe Mirrazは、「いたずらしまくってるスティッチが大暴れできるようなアレンジにした」というコメントをHPに寄せているように、欲求を満たしていくスリル満点のThe Mirrazが爆発しまくるロックンロール!!

■06. HEY-SMITH “The Old Hawaiian Way”
今年のFUJI ROCK「ROOKIE A GO GO」の出演で話題沸騰中のHEY-SMITHは、サントラに収録されている“The Old Hawaiian Way”を夏らしく爽快なアレンジで仕上げている。ホーンとの絡みやコーラスが夏の開放感溢れる情景を一気に広げていく。

■07. FAT PROP “Burning Love”
英語力とダイナミックな歌声におもわず洋楽か?と思うほどの実力派バンド/FAT PROPは、ピアノとファンキーな雄叫びが特徴的なエルヴィスの“Burning Love”をカヴァー。親しみやすいメロディーとインパクトの強いアレンジがベスト・マッチ。

■08. S.M.N. “Suspicious Minds”
バンド名は「スミマセン・もう・飲めません」の略であるというこのバカさ加減が堪らないS.M.N.は、「なるほど、こうくるか!」と笑ってしまうほどのへヴィメタ全開のイントロから飛び跳ねて騒いでるようなサウンドが体を揺らしていく一曲。

■09. MONGOL800 “南風と太陽”
6月まで放送されたテレビ・シリーズ「スティッチ!〜いたずらエイリアンの大冒険〜」のオープニング・テーマに起用されたオリジナル楽曲。躍動感溢れるロックにスカ要素をプラス。空の果てまで突き抜けていくような伸びやかな歌声が実に清々しい。

■10. KING BROTHERS “Rubberneckin'”
ダンサブルで軽快なエルヴィスの原曲に意外にも忠実。ピッチは倍速だし、ガレージの音質は当然キンブラらしさが全面に出ていて、かつ原曲の楽しさが倍増していく。そこに彼らの反骨精神がビシバシと詰め込まれているという、すばらしい仕上がり。

■12. 真空ホロウ “Lahaina”
サントラに収録されている曲を真空ホロウの柔らかい空気感で包み込んでいく優しい感触と力強さが溢れ出していくアレンジ。彼らのオリジナルでもおかしくないほどの相性の良さ。曲の世界にどっぷり浸かり、想像力を豊かにする独自の世界観が広がる。

■13. the pillows “Rodeo star mate”
MONGOL800と同じくテレビ・シリーズのオープニング・テーマに起用されたオリジナル楽曲。スティッチのストーリーに寄り添う歌詞が散りばめられているのだが、オープニングでこの曲に合わせて歌うスティッチにやたらロックを感じたのも記憶に新しい。

■14. かりゆし58 “Pineapple Princess”
カヴァーにも定評があるかりゆし58だが、英詩の楽曲をカヴァーするのはおそらく初めて。沖縄音階を得意とする彼らだが、こちらはハワイアンの匂いを含んだ南国ムード満開。同じ南国でも沖縄特有の音楽とは異なるし、彼らの新たな一面を覗かせた一曲だ。

■15. HIFANA “Hound Dog”
ラストはHIFANA。エルヴィスの“HOUND DOG”を大胆にもインストでカヴァー。沖縄民謡とハワイアンとロックをあまりにも自然にミックスさせたこの解釈。HIFANAにしかできない匠の技と言えるだろう。HIFANAを選んだところがそもそも凄い。


Interview & Text : 松木美歩


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