|
ズボンズ、セルフ・カヴァー・アルバム、
堂々完成!これを聴かずして死ねるか!
ある日、JUICE編集部内ズボンズ応援団(つまり、僕と近藤だが)に電話があった。ドンさんが遂にズボンズのレコーディングを完了、わざわざ編集部まで音源を持って来て下さるとのこと。ドーナツを買いに行く間もなく、ドンさんは現れた。それから一時間半後、僕と近藤は放心状態であった。ズボンズのセルフ・カヴァー・アルバムが素晴らしかった、のもあるし、愛したロックがすでに「自分達のもの」ではなくなってしまった気がしたからだ。必読。
■今回のベスト盤、最高でした!
ドン:ありがとう、嬉しいです。??ボク自身実は“昔の作品はどうでもいい”って思ってる所があったりするし、ドラマーも変わったしで、楽曲自体は以前の作品でも、今やってる状態で録音し直して、“また新しいタームに入って行くんだぞ”って決意してました。いわゆる“ベストアルバム”っていうと、過去の音源を集めて、リマスタリングして、っていう形でしょう?ボクはそういう作業に全然興味が持てないんだ。「新しく何かをやろうとしている時に、昔のことを振り返ってどうすんだ!?」って思ってしまう。常に「今」の状態でいたいもんね。それに楽曲に関しても、オリジナルの段階では曲作って、レコーディングしてリリースするまでって凄く時間が短いでしょう。でもリリース後にライブで何年も演奏し続けることで、曲本来の本質や、自分達がやろうとしてるところが明確になってくるんだよね。だから、恐らくほとんどのミュージシャンが──自分が音源としてリリースしたものよりも、今、ライブで演奏しているバージョンの方が気に入っているんじゃないかなぁ。でもそれを改めて、録音し直すとなるとまた別の問題が出てくるんだけど──ライブでやるのとは違う感覚だからライブ感覚でそのままやっても音源として面白くないものになる可能性もあるからねぇ。そういう意味で、新作を作るのとは別の難しさがあったし、何より凄く客観性が必要だったな。なにより作品として“ズボンズっていうバンドの本質をきちんと捉えているってものにしたいな”って思ってたんですよ。ある意味ではチャレンジだな。
■ドンさんがいつもおっしゃってるローリング・ストーンズ、マイルス・デイビスしかり??様々な音楽が集約されているっていう部分を感じました。
ドン:ウン。これ仕上げた後で、自分たちの音楽っていうのは実に妙だなって思いましたね。“こういうのはどう表現したらいいのかな”って思っちゃったんですよ。J-POP的歌モノ要素はゼロに近いでしょ?かと言って、アンダーグラウンドや、ハードコアでもない。“やっぱりこの音楽っていうのはどのコーナーにも置き難いな”って思った。林さん、どう思う?
■そうですね──偏差値は確かに高いと思います(笑)。
ドン:偏差値!(笑)昔のミュージシャン、やれセールスが、という考え方をしなかった時代の「好きだからやってる」人たちの感覚と近いのかな。でも、ボクらはあくまで、影響を受けてきた音楽の集積というか??それを表に出しているっていう感じがするんだけどね。
■なるほど。でも、それが正しいあり方のような気がしますね。意識するにせよ、しないにせよ。
ドン:ボクたちが思う「音楽」っていうのは極めて個人的なものだとも思うし。武道館やドームを一杯にしたらとか、100万枚売れたら満足とか、そういう数字統計的目標があったとしても、例えば、「ビートルズの“ストロベリー・フィールズ”と同じように、自分たちの音楽を本質的に”かっこいいもの”に高める事ができるか?」という命題に比べたらどれも全部些細なことに感じちゃうんだね。そういう意味では、ボク個人の目標が、「ロック=最高のもの」という考えにあくまで執着したものであると考えると、“数字とか規模はどうでもいいのかもな”って思っちゃうな。まぁ、良くも悪くもですけどね。
■それはすごく正しいお話だと思います。最近、頻繁にライブやってますが、物思われることはありますか?
ドン:んー、色々な場所でライブやって、概ね良い反応なんだけど、時々音楽に反応しない人がいて戸惑うときありますね。「良いモノ」っていうのは基本的に伝わるハズと信じているのだけど、そこで起こっている事にまるで無反応で無関心な人たちもいるんだよね。そういうのが増えてきたら“怖いな”って思います。自分の見たいものしか見たくない人達。
■あぁ、なんかわかる気がします。
ドン:ミュージシャンでもいるからなー。良し悪しじゃなく、自分たちのやってることだけにしか興味が無い人とか。変なんだよね、そいうの。まぁ、価値観が違うという話だけなのかもしれないけど、音楽ってそういう垣根を越えると信じているだけにねー。(笑)そういう無関心な人たちとは、長い戦いになるかもなって思います。(笑)それでも一方では、自分内の「満足感」を大事に大事にしなきゃならないんだなって思います。皆が情報に惑わされているでしょう。でも、本当は自分の基準だけが正しいハズなんだけどね。それは売れてるとか、有名とかとは関係がないんだけど。成功しててもくたびれた顔をしている人もいるし、逆もある。だから、顔を見るのは一番の指針なんだ。「いい顔でいれる」かどうか。それは、いくら嘘をつこうと自分では解ってることじゃないかな???またいつもみたいに深い話になっちゃいそうだけど、こういうインタビューのあり方みたいなものもどうなんだろうか、プロモーション的に(笑)?
■なかなか、こういうお話も出来ないので、楽しいですね。
ドン:そりゃ林さんは(笑)。でも読み応えのあるものの方が良いと思うんだけどね。誰も最後まで読まないかもしれなくても、昔僕らが読んでいたインタビュー ──キース・リチャーズやジョン・レノンのインタビューって物凄く深いものがあったよね。結構、突っ込んだ話でさ。かなり考え方とか影響受けたなぁ。
■時期によっても言うことが違ったりしましたしね。そこが面白かったですよね。
ドン:色々学ぶことが多かった。今はインタビュー読んで“学ぶ”ことなんてないですもんね。プロモプロモプロモで。「その人たちが何を聴いて、どう影響を受けて、こういうバンドになりました」なんていうのは分かっても、その人がどういう考えの、どういう人間か分からないよ。この、JUICEに載ってるバンドのインタビューはどう?………うん、まぁ未来に期待ということにしよう(笑)。
Interview&Text : 林 拓一朗
|