serial TV drama


ロックは自由だ! すべて手に入れろ!
ライヴのキラー・チューンも装備した2nd完成!

 2004年1月結成の〈シリアル・ティーヴィー・ドラマ〉。2007年3月にミニアルバム『ginger』を発表。2008年7月に1stアルバム『シリアルキラー』を発表。ライヴに於いても『MINAMI WHEEL 2008』、『COUNTDOWN JAPAN08-09』、『ROCK IN JAPAN 2009』などのフェスティバルに出演し話題が尽きない中、待望の2ndフルアルバムが完成! 彼らはロック、Jポップ、エモ、ハードロック、パンク、ヒップホップ、プログレなどを自然に操る。ジャンルレスが当然になった新しい世代による自由なロック! この全12曲からは、ロックが華々しい進化を続けていた時代への憧憬すら感じられる。つまり、serial TV dramaのメンバーが初めてロックに触れた時、憧れのバンドは既に活動していなくて、ライヴを目撃することもできなかった。「だから自分たちで鳴らそう!」 serial TV dramaは、そんなシンプルな動機で、好きな音楽を手にし進化させる。彼らの音楽への敬愛を感じてほしい。



ライヴの中で感じた自分たち

■セカンド・アルバム『SPACE OPERA』は素晴らしい大作ですが、僕は更にserial TV dramaが解らなくなったんです(笑)。すごいのは解るんですけど、1曲目から最後まで予測不能なこの感じは、自然とこうなったんですか?

新井:
そうですね、はい(笑)。

■前作『シリアルキラー』は、僕も理解できる範囲だったんですよ。色んなジャンルを融合させても、それぞれの曲がジャンルと言える部分があったじゃないですか。今回は1曲の中にも色んなジャンルが混ざってるので。そもそも、どういう方向性を定めているのかをお訊きしたいです。

新井:
方向性は……言ってしまえば、どこも向いていなくて、前作を出してツアーをやって、ライヴの中で感じた自分たちの特性や、自分たちの良い瞬間っていうのを詰め込んだアルバムを作りたかったので、特に、こうしたい!っていうより「俺らがやってれば俺らでしょ!」って感覚の方が強かった。それがserial TV dramaだって感じですね。

■元々、バンドを結成した当初から色んなジャンルの音楽をやるっていうコンセプトだったんですか?

新井:
というよりも、当時から色んな音楽が好きだったっていう方が正しくて、それをバンドに入れようとも、入れないとも思ってなかったし。無理な曲作りはしないで、普通に曲作りを続けてきて今に至る感じですね。

■敢えてどこかに絞らないって意味で、無理な曲作りはしないってことですね。プロフィールに書いてある「ハイブリットロックバンド」って言い方が的を射ていますね。確かにゼロ年代にバンドをやるとして、この方法論は当然有りだけど、新井君みたいにギターが上手いっていう技術的な部分と、バンドの情報処理能力がないと、ここまで到達できないと思うんです。そういう意味ですごいです。やろうと思ってできないバンドが多いと思うんで。

新井:
なるほど。僕は逆にジャンルを絞っているバンドを観るとカッコいいと思うし、自分にはできないから、羨ましいですね。それができる時って、全てを割り切って大人になる瞬間だと思うんです。ひとつだけをやり続けてるアーティストだと、きっと分かりやすいだろうし、スッと耳に入ると思うんです。ほんと、いいなぁって憧れます。

■謙虚なんだかなんだか(笑)……でも、serial TV dramaの技術をもってやればできそうですが。

新井:
演っている内に「これじゃつまんない」って、どんどん色付けしていきたくなるんです。

■作詞作曲のクレジットを見ても独特ですよね。新井くん自身が作詞作曲をしている曲もありますが、基本的に歌詞を書いている人がバラバラですね。

新井:
曲が先にあるんですけど、その後、だいたい(歌詞を)書いてほしい人に言うか、自分で書くかなんですけど。この曲を言葉にして人に伝えたい!って時、メンバーの人柄で、外向きなメンバーも、内向きな人もいれば、普通な人もいて、そういうのを考えてリンクさせる。曲として一貫していればメンバーの誰か1人が書けばいいと思うんですけど、曲自体が色々な表情を持ってたりすると、1人の人間が書いてしまうと、それこそわけ解らないというか。

■確かに。そもそも新井くんが先に作る曲って、デモの段階で、もう完璧に近い形なんですか?

新井:
そうですね。スタジオに持って行くまで、8〜9割できた、詞が無い状態で作って行くので、それを(メンバーで)どんな曲か理解し合って、詞をどうしたらいいかな?って考えていくっていう。多分、普通な曲作りだと思うんですけど。

■そうですかね。ところで、今年3月に出したシングル“まばゆい”は、ハードロックな感じとダンサブルな感じの融合、ラップも少し入ってますが、この曲ができた意味は大きかったんじゃないですか?

新井:
大きかったし、やりたいことができた一曲でした。『シリアルキラー』を出して、ライヴをやって「自分たちはこういうバンドだ」っていうのを感じた、それを詰め込んだ1曲でしたね。

■その方法論が今回のアルバムにも繋がっている気がします。その前に『LOOP』っていう会場限定のシングルも出してますが、アルバムには入ってないんですね?

新井:
ライヴで回れない所もあったんで、入れるのが親切だと思ったんですけど、途中で、やっぱりライヴに来てほしいから入れないでおこうって。自分の中で、どっちが親切なのか?で悩んだりもしたんですが、やっぱりライヴに来てほしいっていうのが大きかったんで。

■会場限定販売を貫いたんですね。


システムとか仕組みとか、要らないんじゃない?

■そういう意味では、今回のアルバムもライヴを意識した曲が多いですよね。1曲目の“スペースオペラ”からライヴで盛り上がりそうなすごい曲ですね。新しいんだか古いんだか分からない感じも、最高です!

新井:
ありがとうございます。

■この曲は、QUEENみたいな感じとか、ハードロックな感じとか、色んな影響も窺えますが、オペラって付いてるだけあって「ロックオペラを演りたい」っていうのが、まずあったんですか?

新井:
ロックオペラにしたかったっていうよりも、でき上がったモノを振り返ったら、ロックオペラ的な作り方だったのかな?って感じだから、意図して作ったっていうより、自分にはそれしかできなかったっていうか(笑)。

■こうなってしまうんですね(笑)。意図していないにしても、現在、ロックオペラをやるバンドも、そういないので面白いですよね。“噛ませ犬”は作詞作曲とも新井くんですが、ゴリゴリした感じとメッセージ性が強い感じは、何か言いたいことがあってですか?

新井:
言いたいことと、適当に書いたのもありつつですね(笑)。もちろん伝えたい思いはありますけど、それはもう(聴く側が)感じ取ってもらえれば。

■半分言葉遊びっぽいですしね。この後に“あしあと”でガラッと変わるんですけど。温度差がすごいですね(一同笑)。“あしあと”はハートフルな歌モノですごくいい曲ですが、流れが読めないですね。

新井:
方法論的な理屈になっちゃうんですけど、お互いが魅力的に見えるようにっていう僕の考え方ですね。似た曲を並べて殺しあっちゃうのが嫌なので。すべて大事な曲だし、その曲がより引き立つポジションに置くのが、僕のスタンスですね。

■なるほど。

新井:
次の曲に行った瞬間、別人ってくらいの振り幅で。もう一度聴いた時に新たな発見があるっていうアルバムを常に作りたいと思ってますね。その方が長く聴いて貰える気がするし、消費されないかなって。

■アルバムで通して聴く方がいいとは思いますが、今はiTunesとかで自分で選曲して聴けるので、そういう時代性と合ってるかもしれないですね。

新井:
でもそれは意識してなかったです(笑)。

■今回、最も驚いたのが“ソング・オブ・ガンジス〜ホロレ禁じられの歌〜”って、もうタイトルから全然解らないですが(一同笑)。途中からカンフーみたいな展開もあり、完成度も高いっていう。

新井:
……それは色んなアンチテーゼが詰まった曲なんですけど。

■既成の概念に対するアンチテーゼですか?

新井:
そうですね。システムとか仕組みとか、枠にはめたりとかは要らないんじゃない?って。だから間奏も長いし。

■そうなんですね! コーラスも完成度が高いですよね。何でここまでやるんだろう?って思いますが(笑)。

新井:
やってて楽しいし、そういう曲が作りたかったし、普通でないことがいいのかなって。とにかく、みんな自分の価値観で生きたらいいのになって曲です。

■深いメッセージが込められてますね。そう言われると、スケールも大きいのも納得です。

新井:
世の中の真理とか真実ってなんだ?ってところで、まずは疑ってみて、自分で感じたことが答じゃない?って。聴いてどう思ってもいいし、このアルバム全曲にそういう意図があるし、どう聴いてくれてもOKです。

■そういった意味で“裏切りのダンシングボーイズ”は、演奏形態自体がそんなメッセージになってますよね。新井くんがドラムを叩いて、岡田くんがラップをやってるという。自然とこうなったんですか?

新井:
そうです(笑)。次のアルバムはラップを入れたいってずっと思ってて、今まではスキャットに近いものはあったんですけど、よりラッパーっぽく。(岡田)翔太朗の面白さとか、個性とか持ち味を俺は知ってるけど、外の人は知らないから、もっと見せたいって思って、何がいいかなって時に、ラップだ!って。で、翔太朗がラップをやったらドラム叩くのは難しいから俺が叩こうって。自分の中で自然にそうなりました。

■またこのラップが煽りまくで……いい感じで(笑)、観てる方にも、これがserial TV dramaだ!ってメッセージとも言えますね。ライヴもその編成で演るんですか?

新井:
それで演ります(笑)。ライヴでやったら楽しそうだし、良いトコどりをできたらいいなって。


世の中、意外と楽しいぜ! 自由に生きろっ!

■ダンサブルな曲が多いですよね。“夜空の星屑”は、ちょっと抑え気味な感じが、聴いてて気持ちいいです。本気で演ってるのが、また可笑しいですけど。

新井:
そうなんですよ。シティ・ポップみたいなのを演りたくて。最近の主流だと、そういうとこから派生したファンクなノリとかが多いから、俺たちは「古臭いのをまんま演りたい」ってところから始まりました。フュージョンちっくな感じのシティ・ポップを自分たち的に噛み砕くのがいいのかなって、マジでやりましたね。

■それで、できるのがまたすごいですよね。聴いてて「ん?これ笑った方がいいのかな?」ってなりますが(笑)。

新井:
それもどっちでもいいですね。俺らはマジに演るだけなんで。

■こういう特徴だけの音源を作っても面白いと思います。

新井:
ポテンシャルありますかね?

■かなりあると思いますけど……需要があるかどうかは別として(一同笑)。“SEVEN SEAS of SHY I、II”は組曲っぽい感じで、これぞロックオペラという曲ですが。これもまた何とも言えない……。

新井:
(笑)プログレ的な。今までも長い曲を入れてきてて、だんだん分数が伸びてきたことだし、曲に繋がりがあったらいいなと思うところから始まって、作りました。

■圧倒されますよね。そんなアルバムとしての高揚感としてのピークを迎えて、最後“トリコロール”で終わるっていう。ますます得体が知れない感じですね(一同笑)。

新井:
その曲によってアルバムに深みが出るというか。うちらはコメディ・バンドではないし、これだけをやりたいわけでもないし、やりたいことをやってるだけで、純粋にいいモノが作りたくて、楽しんでっていう。そういう思いが最後、景色として見えたらいいなって思いますね。

■ローリング・ストーンズとかプライマル・スクリームがやってるような、ソウルフルな曲で終わるのが美しいし、これもできるのがすごい。これだけジャンルがバラバラの曲を1枚にまとめるのは大変だったんじゃないですか?

新井:
大変と言えば大変だし、楽しいと言えば楽しい。実はもっと入れたい曲があったんですけど、いつも「これじゃ2枚組じゃん!」みたいな状態からアルバムを作るんで。

■曲はどんどんできる方ですか?

新井:
そうですね。作曲自体は割と早いですね。

■このアルバムを出して、こう聴いてくれたらいいなとか、意図しているところってあります?

新井:
ロックは自由だってことですね。

■すごくザックリした言い方ですね(笑)。

新井:
生きていれば、色々と縛られなきゃならない部分や、しがらみもあって、そういう中で生きていかなきゃいけないのは大変だと思うんですけど、本当に楽しい人生を歩んでほしいというか。選択肢は色々あると思うんですけど、自分の価値観で最高だと思えるモノを求めてほしいし、そんな情報の取り方をしていったらいいんじゃないかって思いを込めました。

■ちゃんとアルバムを聴けば伝わってくるメッセージだと思います。今後、全国ツアーも予定さしてますが、どんなツアーになりそうですか?

新井:
このアルバムで伝えたいこと――「世の中、意外と楽しいぜ!」「自由に生きろっ!」ってことを、自分たちでやって見せるライヴになると思います。多分、ステージの上でやりたい放題やるんじゃないかと思います。その音楽が実生活に活きてくれば、なお良いし、自分が好きだと思ったモノを楽しんでほしいですね。


Interview & Text: 田代 洋一