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日本音楽シーンのレジェンド達が現在(いま)を歌う。
初音源『NO FREEDOM』という名の名作誕生秘話!!
2006年に結成されたSDR(セドロ)。メンバーはアナーキーの仲野茂(Vo)、名越藤丸(Dr)とARBの内藤幸也(Gt)にARBのメンバーでもあり、再始動したユニコーンのメンバーEBI(Ba)の四人。音楽好きの方々にはこのメンバーが集まり、ひとつのバンドを作ったことに衝撃を受けるだろう。昨年、とあるイベントでステージから観客めがけてケーキをぶちまける、はちゃめちゃな仲野茂の姿をみて、すぐさま現在を追い求めて調べてみると、このセドロにたどり着いたのだが、ある意味非常に純粋無垢に、昔もいまもなにも変わらずに世の中と音楽とを本気で向き合っているバンドであることが、3月1日に発売された『NO FREEDOM』で聴くことができた。これこそが人生における応援歌であり、これこそが真のラヴソングである。そんな深い説得力は彼らだからこそ歌えるロックが歴史と共に刻まれてきたからだ。エンジニアにはZAZEN BOYZの向井秀徳氏を迎え、10曲を驚異のスピード三日間でレコーディング。この四人が集まった偶然と必然は現代の音楽シーンに大きな爪痕を残していくはずだ。ユニコーン稼働につきEBIは残念ながら欠席となったが、結成からレコーディングの話まで三人にたっぷり話を訊くことができた。襟を正して読むべし。
いい歳の喰い方っていうのはさ、
後からついてくることなんだよね。
■初インタビューがJUICEということで、光栄です。
仲野:メンバー揃ってやるのは初めてだね。つっても全員揃ってないんだけどさ。
名越:一人いないけどね(笑)。
■EBIさんはユニコーンがフル稼働中ということで欠席ですが、今日はセドロというバンドについて、初音源『NO FREEDOM』のことなどお伺いしていきたいと思います。
仲野:なんでもお伺いしちゃってよ。
■はい(笑)。まず結成の経緯をお伺いしますが、この四人が集まってバンドやるって事件じゃないですか? いったい、どういう経緯で始まったんですか?
仲野:では、広報役の内藤くん。よろしく。
内藤:いつから広報になったんだよ。
■では、広報の幸也さんお願いします(笑)。
内藤:えーっと……何年前だっけな。三年前、いや二年半ぐらい前か。下北でね、ブランニューロケットっていう家具屋さんのイベントがあって、そのイベントにまずオレが出てくれって言われたんだけど、そこの社長がARBとアナーキーの大ファンだってこと知ってたから、「(アナーキーも)いまやってないからやってみようか」って話になってね。じゃあARBとアナーキーの曲をやろうと。「結構ギャラいいよ」とか言いながら(笑)。
■はじめは一夜限りの予定だったわけですか?
内藤:そうそう。一夜限りのつもりだった。
名越:違うよ。その前にレコーディングがあったんだよ。
内藤:あ、そうか。そっちが先だっけ?
名越:そっちが先だよ。それでレコーディングしたんだよ。
■それはSDRのレコーディングではないですよね?
内藤:KASINってバンドだね。
■KASINもJUICEでインタビューさせていただきましたよね。では、KASINで幸也さんと名越さんとEBIさんが揃って、イベントに出るにあたって茂さんを誘って、現在の形になったわけですね?
名越:それが経緯だね。それで「じゃあ、バンドとして正式にやろうか」って感じで。
■ちなみにバンド名ってどうやって決めたんですか?
仲野:オレが「セックス・ドリンク・ロックンロールズでどう?」って言ったら、みんな「えー!?」ってなったところからはじまって(笑)。
■アハハハハ。それでどうなったんですか?
仲野:ごちゃごちゃ言ってても決まんないから名越に電話して、もうロゴのデザインさせたの。でも、名越が「SDR」でロゴを作ってきちゃったんだよね。頭文字とっただけなんだけど、「それでもいいか」って感じでセドロになった。
■はじめはセドロじゃなくて……
仲野:セックス・ドリンク・ロックンロールズだよ。しかも「ズ」はひらがな(笑)。
■セドロでよかったですね(笑)。
名越:でしょ(笑)!? 「セドロでいいじゃん」って言ったら「セドロセドロ」言い出してさ。
仲野:「セックス・ドリンク・ロックンロールズ」をカタカナで書くとちょっと微妙だからね(笑)。
■セックス・ドリンク・ロックンロールと聞いて、頭の中がクエスチョンマークの人がいるみたいですよ、最近は。
仲野:今回“タンツボ政府”って曲があるんだけど「タンツボってなに?」って若者も多いだろうしね。だからなんかさ、年寄りが若いところに入っていくなんて無理があるんだよね。ただ若いヤツが知らないことが、強みか弱みかは別としてもオレらは知ってるわけじゃない? 「タンツボってあったよな」ってさ。タンツボの話をこんなにするのもなんだけど(笑)。だから、「セックス・ドリンク・ロックンロールズ」もそういう感覚で受け取られてもオレは全然いいんだよ、若い人達にさ。クエスチョンでもビックリマークでもどっちでもいいんだよ。「わかんねーヤツに用はないんだよ」なんてつっぱるような歳じゃないし。おじさんからのメッセージだね。
■私も正座して聞かなきゃいけないぐらいですよ、いま。
名越:そんなことないでしょ(笑)。オレらなんて、ただ歳取ってるだけだからね。
■いやいや、ARBとアナーキーといえば、音楽シーンにおけるレジェンドのダブルパンチですからね。
仲野:歳喰っていくと重厚になりたがるヤツもいるよね。でも、そういうのって、オレは全然興味がないんだよ。ロックに重厚さなんて要らないからね。ただ歳取ってるだけだからさ(笑)。キャリアが上の人には尊敬もするし、敬うし、影響を受けたミュージシャン達にそうなるのはわかるよ。でも、それと年功序列とはまた別じゃん? そんなもんをやたら気にするヤツっているけど、ただ歳が上だからって「アホか」って話だよ。そんなヤツって音楽業界にもうじゃうじゃいるけど、ただジジイなだけじゃん。ロックっていうのは、そういうくだらないものをぶち壊すものなんだよ。売れなくてもいいことやってるヤツらはイカしてるし、それは歳は関係ない話だからね。まぁ、この歳になって思うのは、いまのロック状況があまりにも低年齢になってるのはショックだけどね。
■それはレベル的な問題ですか?
仲野:それもだし、しょうがないんだろうけど、四十過ぎるとライヴハウスに足運ぶことってなかなかないじゃん? 特におっさん共はね。男がかなり元気なくなった感じがするんだよ。やっぱり、女性をいっぱい入れないとホールクラスにはいけないと思うし。女の子の方が素直だよ、気持ちに。男ってカッコつけんじゃん。ライヴに行くにしても、聴くにしても。女の子ってさ、好きなら「キャー!」でしょ?
■はい。まったくもって否定はできません(笑)。
仲野:昔は「このミーハー共が!!」って思ってたけど、あの軽やかさは悪くないよね。男ってやっぱ見栄っぱりじゃん。アナーキーと似通ってるよね。男ばっかりだったもん。「頼むからいねーでくれ」って思ってたよ(笑)。
■いやいや(笑)。アナーキーのドキュメンタリーを拝見しましたけど、アナーキーの親衛隊の方々の熱さは女子のミーハーとは違いますからね。男に支えられるバンドって女子には近寄れない魅力があると思うし。でも、さっきの話にあるように、元気ない世代だったり、男達を巻き込みたいって気持ちがセドロにはあったんですか?
仲野:そこまではいかなくても、家でCDぐらいは聴いてほしいとは思うよね。それもあって一曲目を“タンツボ政府”ってつけてみたんだけど、いくら「政治なんて関係ねー」って言っても、こんだけひでぇことやられて、めちゃくちゃ税金使われてるわけじゃない?そういうのを「そうだそうだ!!」ぐらいのことは思えよ!って思うわけだよ。実際はどう思おうが勝手なんだけどさ。
■もっと言えば昔もいまも、きっとみなさんが思ってることって変わらないんですよね。芯のブレってなくて、伝えたい世界は変わっていない。
仲野:変わっちゃいけないことってあるじゃん、人間って。でも、普通に会社勤めしてる人とかは変わらざるを得ないところってあるわけだよ、絶対に。でもさ、オレらって別に大事なところ変わんなくてもこうやって生きていけるでしょ? だから幸せなことだよね。世の中と圧倒的に違うとこはメンバーを選べるわけじゃない? サラリーマンは上司とか部下とか選べないからね。サラリーマン生活やったことないからなんともいえないけどさ(笑)。いつも思うんだけど、名が知れて長くやってるとさ、名越も幸也もEBIもそうだけど、歳は喰うけど、いい歳の喰い方っていうのは、後からついてくることなんだよね。だってオレが今日寝て、明日桑田佳祐になってるわきゃないんだから。
■変わらなくて当然だってことですよね?
名越:うん。あんまり、変わるとか変わらないとかって意識ってしたことがないんだよ。セドロもそうだけど、これから先は変わるとか変わんないとかじゃなくて、洋服の上に新しい洋服着ていくみたいなさ。着膨れするみたいな。変わるんじゃなくって、そっちの方向に行きたいよね。
■元がちゃんとあって、その上にどんどん新しい皮膚が重なっていくような感じですかね。
仲野:そうだね。だからセドロもそうなればいいしね。軸がブレてなきゃなにやっても絶対かっこいいと思う。「○○風」っていうのが音楽形態に山のようにあるわけじゃん。ジャンルももうよくわかんないし、グチャグチャになってる。だからこそ「○○風」じゃない「セドロ」っていう、そういうものが出来上がればいいなって思ってる。でも、その「ブレない」っていうのは誉め言葉っぽくて最近は好きだよ。知り合いに「やっぱり茂ちゃんはブレてないよ」って言われて、ちょっとうれしかったもんね。
■この『NO FREEDOM』を聴いた感想ですか?
仲野:そうそう。評判いいんだよ。オレ営業してっから。ラジカセないところには持ってって聴かせてる(笑)。
向井くんは幸也が「いま日本で一番才能があるミュージシャンだ」って。
そこまで評価するヤツとやってみたいって思ったんだよね。
■曲作りは4人でやったんですか?
仲野:そう。やっぱり、誰かが曲持ってきて、みんなで練り上げていくよりも、その場でセッションして作ってった方がいいじゃない? だからセドロってバンドらしいバンドだと思うよ。曲も「誰が作ったんだろうね?」みたいな。その代わり時間はかかるけどね、やっぱり。
■曲作りにはたっぷり時間をかけて、レコーディングは10曲を3日間で終わらせるというね(笑)
内藤:レコーディングなんて長くやってもしょうがないからね。それぐらいがこのバンドには丁度いいんだよ。
名越:音を重ねて「どーのこーの」言うバンドじゃないからね。そうじゃなくて、「いいじゃん、これで!」みたいなさ。「間違ってるけどいい?」「いいよ!」みたいな(笑)。
■3日間で終わらせなきゃいけない状態でもあったんですよね? 結果的に非常に緊迫感を感じる10曲だなと(笑)。
名越:録ってるほうも緊迫感あったもん(笑)。
■そこに向井(秀徳)さんがエンジニアとして入ることによって、いい見極めと決断力があったんでしょうね。
仲野:そうなんだよ。向井くんよかったよ。幸也が「いま日本で一番才能があるミュージシャンだ」って言ってきて、幸也がそこまで評価をするヤツとやってみたいって思ったんだよね。やっぱり、エンジニアってエンジニアじゃない? 演奏するわけじゃないから。でも、向井くんは歌い手であり、ミュージシャンじゃない? だからダイレクトなんだよ。説明要らずっていうか、よくしゃべるわけじゃないんだけど、ちゃんと伝わってくるんだよね。向井くんのおかげでよりダイナミックに、そのまんまをやれた感じがするよね。
■向井さんはみなさんのバックボーンをよく理解されているし、いちファンとして求めてくれたんでしょうね。
名越:うん。だから楽しかったよ。なんかさ、いるんだよ。どこのバンドにもひとりぐらい「この音がハズれてる」だの「ここのリズムがどうだ」とか細かいこと言ってくるヤツがいたりするわけ。でも、いないんだ、セドロは(笑)。それにプラスして向井くんも「いいんじゃないすか? 勢いあって」って言ってくれたしね。
■作品の全体像が見えてたんでしょうね。
内藤:オレが最初に会ったのってARBの時なんだけど、打ち上げで初めて(向井くんと)話したんだよ。そしたら好きなものがすごく似てたわけ。聴いてるものとかさ。だから音の感じなり、世界観とかを彼はわかってたんだろうね。「こういう風にしたらいいんだろうな」とか。
名越:ミックスが上がってきた時もある意味想像通り。何にも言う必要なかった。よくエンジニアは、もう一人のメンバーみたいなこというけど、それを今回実感したよね。
アナーキーの時はメロをつけたとしても「ああしゃらくせぇもういいや」だったのに
今回は一生懸命やろうとしてた
■このアルバムはビートにおいてのバランス感がものすごく優れてますよね。性急なものもあれば、ボトムの利いたものもあるし。
名越:そうだね。オレが感じるのはEBIとかさ、今までやってきた人とは全然違う人達なんだよね。ミュージシャンとして音出した時の感じ。そういうのが出てんじゃないのかな。うまく混ざり合ったって言うかさ。
仲野:それぞれキャリアが結構あるわけじゃない? で、楽なところで作っちゃえば出来ちゃう気はするんだよね、この四人で。でも、そのもうひとつ向こう側っていうか、挑戦じゃないけど、もうちょっと違う意識みたいなものは感じられると思うんだ。
それは苦しみでもあるんだけど。
■まさに生みの苦しみってやつですか?
仲野:そうそう。でも、そういうとこに向かおうとしてるとこが、すごくいいアルバムになった気がするんだよ。
■メロディーの優れたアルバムだと私は思います。
仲野:そこはね、やっぱりEBIと幸也の影響が大だと思う。オレとかはさ、メロディーとか関係ないとこでやってたプレイヤーなのね。でも、EBIや幸也っていうのは、そういう世界でやってきた人間なんだよ。だからうまく混ざって、うまく表現できたんだと思う。アナーキーの時は、メロをつけたとしても、やってはみるけど「ああしゃらくせぇ、もういいや、これでかっこいいから」って感じだったけど、今回はEBIとかが「こういうのがいいんじゃない?」っていうメロがあったとしたら、一生懸命やろうとしてたのよね、オレ。笑っちゃったけど(笑)。
■笑っちゃうぐらいにちゃんとやろうとしてたんですね(笑)。
名越:そう。でも、ちゃんとやろうとしても自分の中にないものだからできないんだけど、着地点もうまく探るんだよ。「おじさん、進歩したじゃん!!」って。アナーキーの時は着地点なかったからね。墜落して、ズドーン!!って(笑)。
■メロディーのよさに気づいてしまったわけですか?
仲野:そうそう。メロディーってすごいのよ。強い言葉でもマイルドに仕上げるじゃない? 「バカヤロー!」っていうのも「バカヤロウ〜♪」とか言っちゃうと言葉ってマイルドになるだよね。でも、やっぱりオレはどうしても言葉の感じが捨てきれないっていうかさ。
■言葉に通ずる話だと思うんですけど、一般的な世の中の応援歌とかラブソングとか綺麗事が多いけど、“ネイキッド キングダム”とか“ただ夢と語ることなかれ”とか、こういう曲こそが真の応援歌だし、“性夜”こそが真のラブソングだと思うんです。説得力の強さはさすがだなって。
名越:おじさんのいいとこはそこだと思うよ。綺麗事じゃないもん。たとえばさ、どっかで待ち合わせして「大好きだよ、チュチュチュ」みたいなのってあるじゃん?
仲野、内藤:そんなのねーよ!(笑)
名越:例えばだよ。あるとするじゃん(笑)。そんなの現実に見たらさ、待ち合わせしてる時には男は考えてるわけだよ。「今日はどこのホテル行って、なにやっちゃおうかなー」ぐらいのことをさ。女の子だって「今日はなんかあんのかな」ぐらい考えるわけでしょ? それをおじさんは書いてるだけなんだよ。綺麗なことを書く歌詞も必要なんだけど、こういう歌詞も世間には必要なんじゃないのかなぁってさ。
内藤:やっぱね、このアルバムは歌がいいんだよ。「仲野茂っていいヴォーカルだな」って改めて思ったからね。そこは歌詞も含めてデカイんじゃない?
仲野:いいこと言うね(笑)。
■すでに次作が楽しみですが、今後はどんな感じですか?
仲野:もう歳も歳だし、早く作らないと死んじゃうんじゃないかなって思うね。
名越:これが遺作になるかもしれないしね(笑)。
■いやいやいや。それは言い過ぎですよ。
内藤:でも、そういうことは考えるようになった。命の時間っていうのは限られててさ。やっぱ二十歳の子とオレ達とはまったく違うし。
仲野:でも、それは歳喰わないとわかんねぇことだからさ。だって10代とか20代って人生無限だと思ってたもん。まさかさー、49歳になるなんて思ってなかったからね。この歳になるとオレの身体は消耗品なんだなーって思うけどさ、ただ脳みそはそうでもないんだよ。想像力っていうのは、やめちゃった時点で衰えていくもので、そういうことを思ってる限りは想像力はやっぱ無限大だと思うんだよ。
■だからこその説得力がこの10曲にあるんでしょうね。
仲野:ね。だからさ、歳を喰うことが武器になるようなアルバムも作っていきたいよね。絶望的な世の中だとみんな長生きしたくねぇんじゃねーかなって思うからさ。
Interview & Text: 松木美歩
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