Lonesome Dove Woodrows


「ロンサムのロックンロールをおくれよ」
新境地かつルーツを感じさせる12曲を聴け!

 04年の1st『Caf de cobalt』、05年の2nd『CHARADE MOON』、07年のミニアルバム『CUT IN HALF』に続く、ロンサムの3rdフルアルバムは、これまでのロックンロールやブギーに加え、ブルーズやポップソングまでキャリアに裏付けられたグルーヴは格別! TARSHIに話を訊いた。

■まずサイケデリックな“SHANDY'S LAKE”に驚きました。ミディアムテンポで渋く始まるのも意外ですし。
TARSHI:セッションの段階で色々なタイプの曲をやるんで、こういう曲が形になっただけですけどね。流石にアルバムはフルで3枚目だしさ。みんな勢いよく来るんだろうと思ってるとこを「こういうのもあるんだよ」っていう。
■続く“SIDE WAY”がリフで押すロックンロールですし。
TARSHI:そうだね。得意っちゃ得意な感じ。今回“SHANDY'S LAKE”を1曲目にするのは、俺の中では録音してる段階で、しっくりくる感じがあったんだよね。ただ聴いたイメージよりはストレートな事を演ってるんだよね。やっぱ根底にはストレートなロックンロールがあるんで、その変化球をすんなり出せる状態にバンドがなったというか。
■3曲目“WALK ALONE SLOWLY”、4曲目“FAKEMENT COOL”の豊潤なグルーヴもすごいです。
TARSHI:勢いは大事だけど、勢いに終始するって俺は一過性のものを感じてしまうんだよ。リスナーとしては別に何とも思わないけど、自分がそれをやり続ける事には疑問を感じる。バンドはずっと続いてるものだから、やっぱりノリが熟していくみたいな。実は“FAKEMENT COOL”は昔のメンバーだった頃に作られた曲で、こういう横ノリの腰にくるやつって、すごく好きだったんだ。
■ストリート・スライダーズを彷彿させるような。
TARSHI:それもさっきの話と一緒で、そういうところを素直に出せる状態になったというか。
■元々、好きだって公言してますしね。今回、所々でスライダーズっぽさが感じられました。
TARSHI:そこは否定はしないよ。俺が最も影響を受けたミュージシャンは村越弘明さんだと今も思ってるし。
■“FAKEMENT COOL”を今、演ろうと思ったのはなぜ?
TARSHI:正直、前は横ノリのルーズなロックンロールを演る事に自信がなかった。自分の思った感じで演れてなかったんだよ。この曲ができてからもう10年近く経つけど、今のメンバーになって結構経って、やっとそういうルーズなロックンロールを俺らなりに消化できてきた。昔は知識として演っていたというか。
■今のバンドのグルーヴだからこそですね。今回、全体的に歌を聴かせるアレンジになってると思いますが、特に“FAKEMENT COOL”は音圧で持っていく感じでもなく。
TARSHI:そうそう。昔はそれができなかったんだよ。音の隙間だったりでなく音圧になっちゃってたの。その良さが理屈でしか解ってなかったんだな。音の隙間を作ったりは、実際演ると音が鳴らなくて不安なんで、音を厚くしてたというか。歌は前より大事にするようになってきたね。
■ただ90年代以降の音って基本的に厚いじゃないですか。歪んでて当たり前みたいな。でも昔のレコードってそうじゃないですからね。抜けがよくて普通というか。だからTARSHIさんの中で、一回りした感もあるのかなって。
TARSHI:あぁ、そうかもしんないね。自分ではあまり意識してないけど。今、世の中にどんな音が鳴ってるかって、録ってる時は考えないからさ。ミックスダウンの作業の時、この曲はこんな感じだよねっていうのはあるけど。“FAKEMENT COOL”は、エンジニアの人が「これはもう70年代のストーンズで行きましょう」と言ったので。
■“灰色の鼓動”は素直なメロディで爽快な感じの曲ですが、こんなストレートな歌も、今まであまり無かったなと思ってたら、9曲目に“BOOGIEをくれてやろう”が、待ってました!って人のために、ちゃんとあるっていう。
TARSHI:忘れた訳じゃないよ、みたいな(笑)。
■今回、バラエティ豊かな楽曲なので、曲順によって結構印象が変わると思うんですよね。
TARSHI:曲順は、頭とケツは俺の中では不動のモノがあって。それに準じて組み立てたね。でも俺はどっから聴いてもらってもいいんだ。ただ聴き終わった時にもう一回、リピートするようなモノにしたかったんだよね。
■最後は疾走しながら終わると。これだけ色んなタイプの曲があると、もう単純にロックンロール、ブギーとか一言では言えないですね。
TARSHI:(笑)そうかい? 俺達はロックンロールだと思っているし、ロックンロールを演ってるつもりなんだよね。それはずっと変わらない。
■もちろん大きな括りではロックンロールですが。
TARSHI:ロックンロール・バンドってカテゴライズされているバンド、例えば大きく言えばローリング・ストーンズだってさ、世界一のロックンロールバンドだけど色んな曲があったりするじゃん。
■あ、そうですね。でも根底は変わらないですしね。
TARSHI:そう、一本の芯がブレなければ、俺はロックンロールって何をやってもいいと思っているんだよね。やっぱロックンロールって、50年代、最初の時点でミクスチャー・ミュージックだったと思うんだよね。詳しくは解らないけど、カントリーやブルーズが融合されてできたモノがロックンロールって呼ばれるって事は。
■では、ロックンロールって固定観念がありますが。
TARSHI:3コードでノリがよくてとか?
■そういうのはあまり好きじゃないんですか?
TARSHI:いや、好きだよ。ただ、やっぱり違う事も演ってみたくなるっていう。
■まさに今回、演ってますからね。
TARSHI:そうそう。それだけをやり続けるのは、すごいことだと思うんだけど、俺は結構、移り気なんだよね。
■聴く側もそうですからね。何でも聴いて当り前で。
TARSHI:だと思うんだよね。3コードでロックンロールは大好きだし、もちろんそういう曲を演る事も大好きだけど、ちょっと他の事もやりたいって思っちゃう。
■アルバム名の『CHIAROSCURO』にはどういう意図が?
TARSHI:今までリリースした作品、1stから『CUT IN HALF』までマキシ以外、全てCで始まってて、それは偶然だったんだけど「これは、またCじゃない?」ってなり、じゃあCで始まる言葉を探そうと。たまたま美術の用語で「光と影を使った絵画の手法をキアロスクーロ手法」っていうのを見た時、イタリア語だけど「アルバムの中身を考えたらこれかな」と思って。
■ジャケットも陰影をつけた感じですしね。
TARSHI:うん。今回ジャケットはHARISSのSEIJI君がデザインをしてくれて。彼もそういうイメージで作ってくれたって。俺は絵は詳しくはないけど、光と影を使った手法って言葉がピッタリきたんだよね。
■ロンサムのイメージも、そういう感じはあります。
TARSHI:うん、詞が暗いからねぇ(笑)。俺は昔からやっぱり、自分の中に浮かんで見えてるものを、言葉で説明してるようなとこがあってさ。自分の中では絵を描いてるのと同じだなって思う。
■感性で描いているんですね。確かに、その情景が浮かぶんですよね。最後にファンと読者に一言お願いします。
TARSHI:「これがLonesome Dove Woodrowsってバンドです!」ってアルバムができました。これを持って各地を回るので、アルバムを聴いてライヴに足を運んでいただければ嬉しいです。

 

Interview&Text : 田代 洋一