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The Salinger、約8年振りとなるフル・アルバム、
遂にドロップ!そして、転がり続ける。
The Salingerは、Vo&GtのEDDIEと、その相棒、NAOKI(Gt&Cho)の二人のメンバーを中心に、その時期によって彼らの音楽性を変化させてきた。もちろん、軸になる部分はしっかり保持しながら、だ。デジタル・ロック、グランジ、オルタナティブ──彼らのアンテナが捉えた音楽を、俊敏に形にし、世に送り出してきたバンドである。しかし、この作品はそういう意味でカテゴライズが難しい作品である。楽曲ごとのアプローチが多種多様ながら、The Salingerというフィルターによって、ひとつの色となっているからだ。結成10年を迎える二人だからこそ出せる音であり、彼らの「進むべき道」がブレることなく、更なる到達点にまで伸びているからだろう。非常に彼らの歴史の中で、意義深い作品である。秋の小雨の日、彼らを訪ねた。
■フと気が付いたら、前作の『Loveless』から2年が経過していますが、その間はバンドとしていかがでしたか?
NAOKI:自分たちの「Beautiful Rock Night」というイベントで、ギターロック・グランジ・オルタナのバンドを集めて演ったり、そこから今回のアルバムの曲作りに入って??それが去年くらいなんですけど。レコーディングに入って??そこからマイ・スペースでイギリスのCAPTAIN PHOENIXから「今度、日本で演るんだけど一緒にやらない?」って直接オファーが入って一緒にツアーやって、今回のリリースっていう感じですね。
■ライブは比較的活発だったのですが、音源制作の面ではお話が聞こえてこない部分がありましたね。その間EDDIEさんは、何か物思われるところはありましたか?
EDDIE:曲は随時作ってたんで、チャンスを待ってたというか……「早く出したいな」とは思ってたんですけど??メンバーも固まって、バンドとしてもいいライブが出来るようになったんで、アルバム制作に踏み切ったんです。ちょっと僕も目の手術があったりとか、病気になったり、途中でCAPTAIN PHOENIXとのツアーが入ったりとか、一貫して出来なかったんですよね。途中でツアーが入って(アルバム制作を)中断して、病気になって、中断して……って。始まってから出来上がるまでにバタバタしてましたね。
■あぁ、もうお身体は大丈夫なんですか?
EDDIE:ハイ。たぶん(苦笑)。酒もダメだし煙草もダメだし、無理っすもんね。そんな状態で。
■でも、とりあえずは治られたなら良かったです。そんな中断があったりすると見え方が変わってきたりするんじゃないですか?
EDDIE:あぁ??どんどん時間が無いっていうか、“ヤバイなぁ”って思ってましたね。“早くしなきゃ”って。
■今回はレコーディングにあたって新しいアプローチはあったりしたんですか?
EDDIE:うーん、基本的にエレクトロっぽいところは極端に抑えたというか、生のロックっていうか??まぁ、“あんまりギミックはしてないかな”っていうストレートなアルバムですね。
■そうですよね。何だか、一周した感はありますよね。
EDDIE:(笑顔で頷きながら)うん、あります(笑)。
NAOKI:今回、一番は「バンドサウンド」っていう感じなんですけど、単純に、一発録りで、勢いだけでバーン!ってやる感じにだけはしたくなくて……っていうのは、今まで打ち込みでやってきたりとか、すっごい細かく緻密にやっていったり、整えていったりとかしたところを踏まえて、“両方を一回通り越してから改めてバンドサウンドにしていく”っていうのに今回は一番こだわってて。だから「単純に凄い勢いあっていいね」っていう声も聞くんですけど、逆に「勢いがあるんだけど、緻密なところがあるのが今のThe Salingerだよね」って言ってくれる声もあったりして、その辺が伝わってるのが“こだわって良かったな”って。
EDDIE:一番最初はプログラムで全部曲は作って、それを生に差し替えていくっていう……。
■えっ!それ、大変ですね……(笑)。
EDDIE:そう(笑)。大変でしたね。鍵盤を使うところを全部ギターでやったりとか。そういうことをとにかくやったっていう感じなんで、本当の原点回帰とはちょっと違うんですけど、持っているものという部分では集大成というか??林さんが仰ったように、一周したっていうのはあると思います。あと、あんまり、周りは見てなかったですね。もう『Loveless』からは、周りがどんな音楽をいいと言おうが、自分たちが単純に好きなやつというか、“気持ちいいことでいいや”っていう風になった、そういうアルバムです。だから、今回は、結構曲も入ってるし。
■凄く良かったですよ。The Salingerらしさっていう部分を意識せずに出されているところが良かったですね。タイトルの『Scream & Dream』はどこから?
EDDIE:どこからきたんですかね……。
■降ってきたっていう感じですか(笑)? 何だか相対する言葉と捉えられなくもないですけど。
EDDIE:何で、そのタイトルにしたんだっけな……。タイトルはもう大分前からあったんで。世には出てないんですけど、プログラミングを始めて曲を作ってる時から“『Scream & Dream』デモ”としてあったんですよ。中身の曲は結構違ってたりするんですけど。最初から『Scream & Dream』っていうのは変わって無いんですよ。
■とは言えそれがコンセプトというわけでもなく?
EDDIE:一緒くたにやるのが「面白くない」と思うタイプでね、色んな曲っていうわけじゃないけど、流れとかストーリーがあった方が好きなんで。だから、“Scream だけでもDreamだけでも面白くないからそうなったのかな”って。あんまり深くは考えてなかったですね。感覚というか、そう??降りてきたんですね。
■なるほど。そうそう、最初に遠藤さん(プロモーター氏)から「推し曲まだ決まってないんですけど、どれがいいですか?」って聞かれて??(曲に印をしているのを見せながら)この丸がついてるのがそうなんですけど。全然意識してないんだけど、“結構、速めの曲を選ぶんだな”って。勢いがある系の(笑)。一曲目“Black Rose Mary”とか。
EDDIE:今、ライブのリハをやってるんですけど、楽しいのは“Seventeen”ですね。早く終わるから(一同笑)。
■ははは(笑)。確かに。“円熟した”、っていう表現が合うかはわかりませんが??。
NAOKI:そう、本当はその、激しい系のScream側の曲とメランコリックなDream側の曲、どっちもThe Salingerだし、一番いいのは「アルバム聴いて」っていうことなんですけど……この中で一曲選ぶっていうのがなかなか難しいです。
■ちなみに結局、オススメはどれになったんですか?
NAOKI:“Dreamin' On”なんですが、桐島ローランドさんでPVを録ることに。
EDDIE:もう一曲が“Evil Microphone Scream”です。で、先行で着うたを出すのは“Black Rose Mary”なんですけど、俺は決められなかったんですよ。で、決めるタイミングの時に飲みながらNAOKIに、「申し訳ないけど……俺は決められない」って(笑)。
■あぁ……それは単純に、どの曲にも思い入れがあるってことですよね?
EDDIE:うん、それを通り越して“これが使いたければ、問題ない”っていう感じで。特に“どうしてもこれじゃなきゃ嫌なんです”っていうのが無いっていうことで。
■そういう意味ではThe Salingerとしてのコンセプトアルバムですよね。
EDDIE:例えば“Seventeen”とかを、「ガレージっぽくて好きだ」って言う人だったらグランジ寄りの曲っていうのは「違う!」って言うかもしれないし、その逆もあるだろうし。でも、俺はそういうのにあんまり乗らないタイプなので、で、今回のThe Salingerの推し曲っていうのは“わかんねぇな〜”って。制作している時は、その日その日で“これが一番いい”って思ってたんですけど。
■なるほど(笑)。逆に言えば、意識としては、12曲全部推し曲ってことですよね。でも、その成り立ち方も面白くて??その時期だったりとか、お二人のテンションだったりとか、メンバーさんによってある程度形を変えてきたバンドじゃないですか。だから面白かったですよね。色んな風景が見えるというか……これだけヴァラエティに富んだ曲を書けるのは流石ですよね。
NAOKI:実際はこれ以上ありましたからね。
■へぇ……どれくらいあったんですか?
EDDIE:いくつだろう?途中で数えるのを辞めちゃったんですけど、途中でデモ試聴会があって、その時はこの半分以下くらいだったんですけど、そこからまた更に新しくしたんだけど“Manhattan”はアメリカに行く前からあったりして。
■なるほど。やっぱり時期によって、出てくる曲のスタイルっていうのは変わるものですか?
EDDIE:いや、あまり変わらないですね。むしろ、一分おきに違うコードが出てくるタイプだから。その分用意するものも変わってくるっていう部分では面倒臭いですよね。
NAOKI:大変ですね。今回は特に振れ幅が広いから、「この曲だったらもっとギターいっちゃって」って曲もあるし、「こっちの曲ではバランス見て、もうちょっとメランコリックに弾いて」とか、そこのバランス感は難しかったですね。“Again”っていう曲も、レコーディング入る直前くらいにEDDIEが作って持ってきた曲なんで??他の曲のリハとかもやってて、「“Dreamin' On”の歌を練習したいから、一緒にスタジオ入って」「いいよ」なんて言ってたらね、現場で、明らかに??ずっと違う曲を歌ってて(笑)。“Dirty Blood”とかも、他の曲のデモを作ってた時にEDDIEがずっとギター弾いて歌ってるんですよね。「NAOKI、今ちょっとギター録れる?」とか言ってきたから「いいよ」ってやったり、「キック入れてみて」とか言ってきたからキックを重ねていったりとかして。「じゃあ歌録れるー?」とか言ってきて。全く違う曲をやってるのに、ですよ???さっきまで散々「ここをもうちょっと……」とか言ってる時に(一同笑)。で、次のリハの時に持ってきて「こういう感じなんだけど」「ええ!?」みたいな。
■そういうものの蓄積な感じはしますよね。先ほど桐島さんのお話が出ましたけれど、本人直々の……。
EDDIE:そうなんですよね、たまたまメールが来て「これから映像の方にシフトしたいんだけど、The Salingerを録らしてくれないかな?」ってきたから“マジで!?”って。レコーディング終わって、「あの話って生きてる?」って聞いたら「全然生きてるよ、やろうよ!」って。そしたら「“Black Rose Mary”と“Evil Microphone Scream”と“Rain Coke”と“Dreamin' On”がいい」って4曲あがってきて。でも「余裕が無いから一曲しかできない」って言ったら「じゃあ、頑張るから、もう一曲やらせてくれ」って??とりあえず“Dreamin' On”をきちっと録るんだけど、「アホなやつを一発やろうよ」って“Evil Microphone Scream”も決まったんです。
■それもまた凄い話ですよね。
EDDIE:歳は離れてるんですけど、好きな音楽が似てて。
■でも、そういう人が集まりますよね。とうとう、結成から10年が経つんですね。でも、“え、でもまだ10年なんだ!”って思ったりもするんですけど。どうですか、振り返ってみて?
EDDIE:一緒にデビューしたバンドも周りにはあまりいなくなっちゃって……。この間もマイ・スペースでメッセージがきてて、「また来年あたり同級生でやろうよ」って言ってたんだけど??10年やり続けることが凄いかっていったらそんなこと無いと思うんですよ。自然に……。
■そういう意味では芯の通ったことはやってきてらっしゃってますよね。“らしさ”っていう部分で。10年目にしてこの作品が出来上がるっていうのは感慨深いものです。NAOKIさんはいかがですか?
NAOKI:やっぱり周りに言われて“10年経ったんだ”っていう感じで、“そこから自分で意識するようになったのかな”っていうのはあります。自分たち的には普通なんだけど、対バンしたバンドとかからは「10年、凄いですね!」とか言われたり??同じ感覚で僕らはやってるんだけど。ライブハウスの人とかも「The Salingerだったらもう、普通に対バンなんかで入れられないよ。自分たちでイベント作って、ドカーンとやってよ!」とか言われるんだけど、「いや、僕ら、普通にライブやりたいんだけど」って(一同笑)。
■ハハハ(笑)。10年はあまり意識されてないとのことですが、これから、進化し続ける上で見えてるものってありますか?
EDDIE:いやぁ、何もないですね。でも“ライブやんなきゃ”って(一同笑)。“10/25(JUICE Presents「CLUB CREATURES」』に出演)も何をやろうかな”って凄く楽しみなんで。
■すみませんね、イベントだから、演奏時間があまり長く取れなくて。
EDDIE:いえいえ、そんなに出来ないですから(笑)。
■また(笑)!宜しくお願いします。あと、最後に言っておきたいことがあったらぜひ。
EDDIE:JUICEが、まだ渋谷じゃなくて、っていうか??俺と林さんが付き合いだしてから、フル・アルバムって、初めてなんですよ。
■そうですね!確かに。
EDDIE:JUICEの読者の人にもこのアルバムを聴いて貰いたいですね。
NAOKI:ホント、前のアルバムから8年あいてますけど、その分、詰め込んでるんで是非聴いてください。ロックに飢えている人には堪らないと思うので。
Interview & Text: 林 拓一朗
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