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三人の猛者から生まれる、「その瞬間の記録」。
unkie、『too many secrets』リリース!
青木裕、城戸紘志、TOKIE。この三人のキャリアはもちろん、JUICEの読者ならたいてい知っているだろう。昨年、ファースト・アルバムをリリース以降、おのおののスケジュールの合間を縫って、ライブ活動を展開していた彼らが、ニルヴァーナの『イン・ユーテロ』を手がけたスティーヴ・アルビニをエンジニアに迎え、ニューアルバムの制作を完了していた。あまりにレア(生)な、フレーズのせめぎ合い、そして共鳴。「聴けばわかる」とはこの事か。
■昨年の7月に1stアルバムがリリースになり、ライブ活動を重ねながらの今作となりますね。今作を制作されるにあたって、意識された部分はありますか。
青木:今回は、テーマを基に、スタートから着地まで見据えて。直感的な作業とでも申しましょうか──インスピレーションを崩す事なく、形にしていく。つまり、閃いた時のインスピレーションの鮮度を、どれだけ保てるかということですね。迅速な作業、スピード感につきると言いますか。そういう背景のもとに、プロデューサーのスティーヴ・アルビニの起用もありましたし。一貫したテーマが背景にあるということですね。
TOKIE:一枚目っていうのが、まず、三人で音を出してみようってところから始まって。どんなことになるんだろうっていう、試行錯誤の時間っていうのが。探りあいながらできあがったのが一枚目だとしたら、二枚目っていうのは、モチーフに対して、それを形に完成させるっていう、明確な目的があって作業をする時間だったので。「こういう風にやろう」っていう、今のunkieとしてのやり方みたいなものは、見えて来て。
城戸:もっとシンプルになったかもしれないですね。
TOKIE:それには、現実的になかなかスケジュールが合わなくて、時間がなかったっていうのもあるんですけれども。
青木:インスピレーションを形にするって抽象的なものだから。本当に3人のイメージの共有が第一条件だったんで。だからその取り組み方も、考え方とか感情の表現の仕方とか。一人一人が閃いたアイディアに対して、二人のアシストが迅速なものじゃないといけないし。そのイメージを共有できるものっていうのがやっぱ大事だし。
城戸:あと、意識したとこもあるし、結果的にそうなったのもあるんですけど。映像が見えるっていうか。架空のサウンド・トラックみたいな感じになりましたね。
青木:イメージの共有ですよね、それはね。
■なるほど。そのテーマの基にアルビニさんを。
青木:はい、そうですね。その基に。
城戸:裸のまんま、ありのまま、直さないでそのまま出す、っていう。
青木:ある意味時代に逆行した手法ではありますけど──時代で新しいモノが生まれるってそういうことじゃないかなっていう。
TOKIE:音のせいもあると思うんですけども。普段だったら、ちょいちょいっと直してるようなところも、できるだけ直したくないとか。
城戸:よりリアルなものを描きたかったと思うんですよね。まるで、その場で演奏しているかのように。
青木:アルビニは、プレイしたものを直す必要はないっていう考えの持ち主だった。全部、録っているときに、完成を見越しているというか。
■一緒に、セッションしてるような──。
青木:そうそう、まさに。
■じゃあ、集中力勝負。
青木:そうですよね。集中力がつきすぎて、10日間の日程を3日で終わらせてますからね(笑)。時間が限られてるっていう条件も、曲作りにおいての、瞬発力を生む結構重要な条件の一つだったと思いますね、今、考えると。スタートダッシュを毎日毎日、毎回やってるかんじ(笑)。余裕があると、そういうスタートダッシュを繰り返すのは難しくなるし。それが緩むようになったら、休みを取っちゃうぐらいの極論で進めました。
■なるほど。インストのロック・アルバムって、曲のサイズがどうしても大きくなるじゃないですか。しかし、この作品は──すべてポップ・ソングのサイズでおさめてしまう。
青木:そうそう(笑)。キャッチーって、そういうことだと思うんですよね。長いインストでインプロビゼーションの応酬っていうのも面白いけど。
TOKIE:あとは踊れる、っていうのはすごく考えて。
■そこで、この楽曲達が生まれたわけですね。
城戸:自分的には、なんか映像が見えるというか。映画みたいな、言葉には全部意味があるし。タイトルの『too many secrets』っていう言葉も、秘密を自分の中で解き明かすようなイメージでしたけどね。一人で遊んでました、並べて。これをこう変えたら、こういうストーリーになるなって。
青木:そういう隙間があるといいじゃないですか。歌詞がない分ね。ダブルミーニングみたいなのもちょっと含ませてるし、すべてのタイトルに。イマジネーションを刺激するようなキーワードを並べたというかんじ。
■では、それぞれのタイトルにも内包したものが。
青木:ありますよ。でも、取り方の自由というか。
城戸:自分で調べて、自分で想像してほしい。
青木:唯一、「perchta」っていうのは実在した女性の名前で。十五世紀のヨーロッパに政略結婚で不運な生涯をとじたという女性の、幽霊の話なんですよね。実際あるらしいです。そういう伝説が未だに。
城戸:ほんとに曲聴くと、亡霊が徘徊しているような。ふわふわしてる。
青木:家に帰ったら、トッキーだったみたいなね(笑)。
TOKIE:──言ったわね(笑)。
■(笑)音楽的にも、色んな角度で、さまざまなアプローチがでてきますよね。そこは、すごく面白かったですね。
青木:音楽を制作する上で、音楽がすべてじゃないというか。いろんな情報の基に成り立っている、そういう想像力の集約されたものっていうかんじ。
■うん、なるほど。それぞれの、聴き手もそれぞれの想像力の中で創造していくので、面白い作品ですよね。
青木:なんでもいいですよとか言いつつ、聴いたらねじ伏せるような破壊力があるんであれば、それがすべてかな。
■そして、楽しみなライブが。
青木:11月13日。お誘いあわせの上(笑)。
城戸:ワンマン、初めてですからね。
■またライブはライブで、一本一本で違いますよね。絶対に。
青木:うん。それこそ、レコーディングセッションとなんら変わらず。
■最後に読者に言っておきたいことがありましたら、ぜひ。
城戸:『too many secrets』を聴いて、何か答えがわかった人。ライブで、聞かせてくれ、と(笑)。
青木:──演奏を止めて(一同笑)。
城戸:その答えも、きっとライブでわかると思うので──。
青木:……ちょっとした逃げにもみえた(笑)。
城戸:(笑)──答えを探しに行こうよ、と。
TOKIE:もうすぐ発売なんですけど。今回、音にしても、やっぱり、どんな反応が返ってくるのか私達もすごく楽しみにしてて、早く皆に聴いてもらいたいなって。わくわくしてるし。それがあってのライブなので。
青木:緊張感とかそういう意味でも、瞬間的な感情を炸裂させたものなので。長い人生の中で見ればほんとに一瞬ですけど。感情のピークというか。そういうのって皆さん、聴いてる人にもいろんな人生送る上で、あるじゃないですか。そこに何かシンクロしてくれるような、そういうエネルギーを持ったアルバムだと思うので、当てはめてもらえたら嬉しいです。
Interview&Text : 林 拓一朗
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