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新狂地かつ最新モードな新譜&初のベスト盤をリリース!
ART-SCHOOLの新しいパッケージが2枚同時発売! 1枚は最新モードのART-SCHOOLが聴ける『ILLMATIC BABY』。タイトル曲にプロデュースにDOPING PANDAのROCK STAR:フルカワを迎え制作され、エレクトロでダンサブルなフロア向けの音に仕上がっている。今回のアー写からも判るように、つまりはニューレイヴだ。それ以外の5曲は、これまで通りキラキラしたギター・サウンドや叙情的な歌が聴けるが、どこかしらダンサブルな躍動感が感じられる。
ベスト盤の『Ghosts&Angels』は4レーベル(123Records, EMI Japan, VeryApeRecords, ROCKER ROOM/PONY CANYON)をまたいで代表曲を年代順に並べた入門編的なベストだ。オリジナル・アルバム未収録3曲(“MISS WORLD”“SWAN SONG”“フリージア”)を含む18曲を収録し、リマスタリング音源も多数収録。また木下理樹によるセルフライナーノーツも封入。価格も¥2,310(税込)とリーズナブル。
【完璧に新機軸を見せたかった】
■まずミニアルバムの『ILLMATIC BABY』は、全体的にダンサブルな印象ですが、意図したところでしょうか?
木下:ライヴで踊れる感じとかいいなぁとは前から思っていて。今は「ダンス」や「ロック」って、ほぼ混じり合ってるじゃないですか。特に海外のバンドとか。リスナーとしても、結構そういうのを聴いているので、ART-SCHOOLにも反映したいなとは思ってましたね。
■“あと10秒で”とか、そういうビートの曲も前からもありますけどね。
木下:そうなんですよね。ただ、それを全面的に押し出さないと、なかなか認知され難いんだなって感じもあったんですよね。ART-SCHOOLって言うと「オルタナティヴなギターロック」ってイメージがあると思うんですけど、そういうのって家であまり聴かないんですよね(苦笑)。中高生の頃は好きでしたけど。やっぱり、そればかりは聴いてないよっていうのは、出していきたいとは常々思っていたんですよね。
■それが今のタイミングだったのは、どういう理由で?
木下:ベストと同時に出るのが決まってて。ベストってキャリアの総括とか、そこで一区切りって感じがあると思うんで、「これからもちゃんとやるんだよ」って感じで行きたかったから、新しい路線と、今までのベストってきっぱり分けたんですよね。
■では、ここから新しいART-SCHOOLと考えていいんですね。
木下:そうですね。元々、新譜を出したいと思ってたんですけど、いつの間にかベストも出そうってなり、それは僕ら側の提案ではないですね。ただ同時リリースって面白いなと思ったので。今まで通りのアートっぽい新曲の新譜っていうのだけは避けたかったですね。
■今作で、急にガラッと変わったイメージは無いですが、『Flora』辺りから音色が、鮮やかな感じはしますけどね。
木下:それは嬉しいですね。円熟の域に来てると考えてもらってもいいと思いますよ。
■以前が、繊細で儚く刹那的だったとすれば、今は円熟味のある豊かな感じはしますね。
木下:なんか自由な感じがいい。縛られてない雰囲気が出せればいいなと思ってますね。
■それはバンドとしてもそういうモードですか?
戸高:そうですね。彼(木下)からバンドに大雑把なアイデアの提案があって。それは面白いなと思ったから。
■具体的にどういう提案だったんですか?
戸高:例えばキーワードで「ニューレイヴ」って言葉が出てきたり、僕もそのイギリスとかで起こってるシーンって面白いなと思ってたんで、いいんじゃないのかなと。ノリ的なものだったりが、なかなか難しかったですね。ただ上手く演奏するだけじゃダメで、まだ完全に消化し切れてないんですけど。
■そのニューレイヴとかをですね。
戸高:でも別に完全に消化するとかじゃなく、自分達なりの解釈ではやれたんじゃないかと思います。
■リズム隊の2人は「踊れる」っていうのは、前から意識してました?
宇野:今まで割と8ビート系が多くて、どこかの転機で四つ打ちダンスビートみたいなのを、と思ってて。楽曲の中で隙間を作るという方向に変わってきたのはありますね。
■隙間を作った方が踊りやすいんですか?
宇野:なんかノリ一発で行ける感じかなって。
木下:ニューレイヴとか割とスカスカですからね。埋めてるアレンジはほとんど無いんじゃないかな。
戸高:今までの足し算的な方法から、引き算に重きをおいてやってるような。
■櫻井君は、リズムの面で変わった部分ってあります?
櫻井:そういう四分打ちとかって、今までも色んなタイミングで演ってましたけど。結局、四分打ちって「ドンドンドン」って口で言うと簡単なんですけど、実際、演ってみると奥が深いと思いますね。難しいフレーズとかパターンではないんですけど、演ってる側がノれるかどうかで。自分の中で演るほどに、より面白味や、グッとくる部分はありましたね。今回、(木下)理樹が曲を持ってくる時点で頭に思い描いてはいると思うんですけど、「踊れる曲」「ダンスな感じ」ってそれぞれ認識が違うかもしれないし。そういうので、でき上がるまでの気苦労というか……ある意味、一番大変だったかもしれない。
■今までのレコーディングの中で?
櫻井:レコーディングの期間が長くて大変とかじゃなくて、その曲達が最終的にパッケージされるまでのプロセスというかが。
■その摺り合わせで、衝突とかもあったりしたんですか?
木下:……元から音楽の好みはバラバラですからね。でも今までは結構「自由にしてくれ」って部分で仕上がっていて。俺の頭の中で鳴ってる音と少し違っても「これはこれで」と思ってたんですけど、今回は絶対、俺の頭の中で鳴ってる感じで行きたいと、こだわってやりましたね。大変でしたけど、できて良かったな。
■今回、そんなに貫いたのは、なぜですか?
木下:ベストと同時に出すなら、完璧に新機軸を見せたかったので。今までの僕らの感じは絶対、消えはしないから、そうじゃない部分のリズム・アレンジや楽曲の雰囲気は妥協できないと思ったんですよね。元々、家で聴いてるようなクラブ・ミュージックやエレクトロなロックとか好きなんですよ。具体的にThe Teenagers、CSS、SIMIAN MOBILE DISCOとかで、そういう感覚のを、今回の作品でやれるだろうと判断してやりましたね。
■普段、自分が聴いてる音楽とかの影響を出さないと、逆に精神衛生上良くないでしょうしね。ただバンドのバランス的に厳しい部分もあったんじゃないですか?
木下:どのバンドも、そういうのはあるんじゃないですかね(一同笑)。
【グランジ・ディスコ】
■表題曲の1曲目は、プロデューサーにDOPING PANDAのフルカワさんを迎えてますが、どういう経緯で?
木下:昔から「なんか1曲、やらせて」って言ってきていたんですよ(笑)。あいつはJusticeとかモロに好きで、「KlaxonsとかCSSの感じなんだよねぇ」って感覚で話せたから、話が早かったですね。で、あいつがキーボードも弾いて。
■“ILLMATIC BABY”のイントロ部分ですね。他の皆さん、でき上がったのを聴いて、どう思いました?
戸高:すごく面白かったですね。
宇野:録りの時点から一緒にやってたんで。コントロール・ブースから「こんな感じにしてみれば?」とか言われて。プロデュースされるのも、ほとんど初めてなんで。
戸高:あれだけガッツリとやったのは。しかも割と同世代の方にやってもらって新鮮でした。
木下:前回やった益子さんや、その前にグラスゴーでやった時のトニーさんはエンジニア兼プロデューサーな感じだったので。
■同世代の人とやるのも新たな試みだったんですね。
木下:聴いてるモノとの感覚が近かったし、この曲はあいつのセンスと合うなと思ったから、頼んだんです。
■それ以外の曲“夜の子供たち”“BROKEN WHITE”“エミール”も、今までのART-SCHOOLの感じもありつつ、キレがいい印象も受けたんですよね。
木下:ライヴではずっと演ってましたから、キレがいいなって思うのかもですね。
■今回のアー写も、パーカー着てサングラスかけて、ニューレイヴのイメージに沿ったようなアー写ですが(一同笑)。
木下:Klaxonsの人みたいですよね(笑)。ニューレイヴとはちょっと違うんですけど、M.I.A.のコのファッションとかカッコいいなと思ってて。
戸高:国が違うだけで同世代のバンドにシンパシーを覚える部分は多々あったりするんで、それを自然に出しているだけですね。そのエレクトロな方向に進むか、進まないかっていうのではなくて。
木下:個人的にはBLOOD RED SHOESってバンドがデカくて。本人達は「グランジ・ディスコ」みたいに言ってて、ロックなんだけど踊れるというのがカッコいいですね。俺らもそういう感覚ってすごく解るんですよ。ニルヴァーナとかピクシーズの曲でも結構、踊れる曲があると思うんですよ。それをサラッと感覚でやれているBLOOD RED SHOESを聴いた時に、今回の感じが、ちょっと見えたかもしれないですね。
■「グランジ・ディスコ」ってART-SCHOOLにも合いそうですね。
木下:でしょ?(笑)
【最初の曲は、当時のことを思い出しますね】
■ベスト盤の方はオールタイム・ベストと呼べるような1枚ですね。
木下:結構、分かりやすい選曲で。聴いたことない人に向けたベストですね。コアなリスナーは手に取りづらいアイテムだとは思いますが「まだ知らなかった頃を思い出してごらん」って(一同笑)。
■この選曲はどうやって選んだんですか?
木下:各アルバム、シングルから割と代表曲をみんなで選んだ。本当はもっとコアな曲も入れたかったんですけど、分かりやすいモノを選びましたね。そのバランスが難しかったですね。
■他にも入りそうな曲があったと思いますが、そうなると1枚じゃ収まんないですしね。
木下:もう100曲以上を世に出してるんで。でも分かりやすいベストを出そうってコンセプトが根本的にあったから、コアな曲を入れるとしたら次の機会かな。
■曲も年代順に並んでて、ヒストリー的にも聴けますし。コアなファンは全部持ってると思いますが、アルバム未収録の“MISS WORLD”“SWAN SONG”“フリージア”も1枚で聴けるという。
木下:そうっすね。iPodで入れて並べる訳でなく、最初から並んでるという(笑)……ちょっと弱いかなぁ(笑)。
■いやいや(苦笑)、あとリマスタリングもされてて。
木下:全曲ですね。
■セルフ・ライナーノーツも封入されると。時代毎に色んな楽曲がありますが、1枚通してすんなり聴けましたね。初期の頃のたどたどしい感じも、また良かったりして。それがメジャー・デビュー以降、力強くなっていき、メンバーが変わってから、また変わった印象も受けましたし。色々と歴史があるなと。
木下:その歴史を感じてくれると嬉しいですね。
■ベスト盤のタイトル『Ghosts&Angels』はどういう意図で?
木下:なんか思いついたんですよね。ART-SCHOOLって「Angel」とか「天使」って ←?、女性でも天使のように思える存在だったりもあって。プラス「Ghost」って形には見えない鬱屈としたイメージがあって。それでなんかいいなと思って付けた感じですね。
■皆さん、ベスト盤を通して聴いて、改めてどう思いました?
宇野:僕、入る前はART-SCHOOLをあまり知らなかったんで、初心者の気持ちがちょっと解るんですよ。で、なんかすんなり聴ける。
■ああ、まさに入門編として。
木下:じゃあ、初心者にも聴けるアルバムだと。
宇野:その点では、うってつけですね(一同笑)。
戸田:ライヴでいつも演ってる曲が多いんですけど、原曲を久しぶりに聴いたなぁとか、理樹→リッキーの声が若いなぁとか。録音の方法とかも違っただろうし。例えばギターが洪水のように鳴っている感覚とか、改めていいなって思ったり。リマスタリングもしてて、割と新鮮に聴けましたね。
■櫻井君は最初からのメンバーですが、どう思いました?
櫻井:いっぱい曲を出してきたんだなぁと。選曲の段階で、他にも入れたい曲はあって。今回の18曲以外にも、聴いてもらいたい曲はいっぱいありますね。
■これを入門盤として、ここから拡がって行けばと。
櫻井:そうですね。聴いたことない人とか、全部揃えるとなるとお金も大変じゃないですか。そういう意味じゃ、ベストはいいアイテムだと思いますね。
■個人的に感慨深い思いとかないですか?
櫻井:“斜陽”とか最初の曲は、当時のことを思い出しますね。エンジニアの人と話が通じなくて、理樹がイライラしてたり(苦笑)、印象深いですね。確か、フェーダーを全部下ろして、「もう一回最初からやらせて」みたいな。
木下:そのエンジニアの人がテンパって、フェーダーを一回落としてしまって、メンバーは「え?」みたいな(笑)。
櫻井:こっちは別にテンパってた訳ではなく「こうしたいんです」っていうのが、なかなか解ってもらえなかったのか? 共通するキーワードが無かったのか?
■コミュニーションの取り方があまり上手くなかったんですかね?
櫻井:初のレコーディングですからね。ただローファイ感とかを出そうとして作ったのはありますし。レコーディングって作業に関しても経験も多くないですし。そこで回数重ねてバンドが成長するんじゃないのかなって思います。それはコミュニケーションもあるかもしれないし、できた曲をどうやって最終的に聴かせる形に持っていくかとか色々あったり。個人的にはそうやって思い返せるいいアイテムで、リスナーにとってはチェックしやすい1枚になったと思います。
■10月から全国ツアーが始まりますが。
木下:リキッドルーム以外は全部、対バンでやりたいなと思ってて、割と『ILLMATIC BABY』の曲を押し出したライヴになると思います。是非、ライヴにも来てほしいですね。
Interview & Text : 田代 洋一 |