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どこにでも存在する静寂になにを感じるか!?
euphoria新作が投げかける相対性理論の音
こんなにシンプルなサウンドなのにその音像がいつまでも耳と心を響かせるバンド・euphoria。そんな彼らがサードアルバム『silence
in everywhere』を発売した。騒音が入り交じる日常で感じる静けさ。そんな瞬間を感じた時になにを想い、なにを見つめるのだろう。4曲のインストと2曲の歌もの。すべてがつながり日常の小さな1コマ1コマをストーリーにしていく衝撃作。やさしくやわらかなサウンドはどんな爆音の叫びよりも強く心に刻まれていく。
■ユーフォリアってこんなにインスト曲が多いバンドだっけ?って印象を今作で感じたんですが、意図するところがあったんですか?
森川:意識してインストを増やしたわけではないんです。作る前に「歌ものを作ろう」とか「インストものを作ろう」と考えて作ることはなくて、制作する時ってスタジオでジャムセッションして、曲を作っていくんですね。その中で「ここに歌を乗せたら気持ちよく響くね」とか「ここは楽器だけの方が広がるよね」って話をしながら、作っていくので、今作に関しては2曲が歌もので、残り4曲がインストですが、流れがそうさせた感じではあります。だから意識的にインストにシフトしたってことではないんですが。
■それにしてもメロが歌いまくってますよね? ヴォーカルがないのにこんなにもメロが歌ってて、言葉が聴こえてきそうで。メロディーへの重きは相当強いですよね?
森川:まさにその通りですね。メロに関しては、もっとも意識した部分だったので、そう感じていただけてすごく嬉しいです。僕たちの音楽って、簡単に括られてしまうと、どうしても世の中で言われているようなポストロックとかシュゲイザーになってしまう。常日頃、意識的に音楽を聴いてる人とかコアな音楽ファンの方とか、そういう方々には届くかもしれないけど、普段そんなに音楽を聴かない人にもボクらの音楽を届けたいって考えているので、そうなるとなにが重要になるのかって。それって、やっぱりメロディーだと思うんです。いいメロディーがあれば、どんな人にも訴えかけることができる。だから、今回は特にそのイメージを強く持って作れた作品になったと思います。
■そこまで広い層に届ける音楽を作ろうという意識が強くなったのは最近のことなんですか?
森川:以前から考えていたことではあったんです。とは言うものの、もっと明確に表現したいのに、リスナーになかなか届かない部分があることも少なからず感じてはいて。だから、今作を制作する前にも作っている最中にも、常に頭にいれて意識して作っていました。
■この作品はジャンルを超えている部分を大きく感じますね。言われてみれば、確かにポストロックやシューゲイザーというジャンル分けができるのかもしれないけど、ここまでメロが歌えば、ポップスと言ってしまってもいいのかもしれないし。
佐藤:ジャンル分けって便利だとは思うんですけど、デメリットも大きいと思うんです。ボクらはそんなの関係なく、音楽は音楽だと思っているし、ジャンルで聴くこともないですからね。だから、ジャンルを問わずに聴いてもらいたいという意識も今作には強くありました。
木下:売る側にとっては、ジャンルがはっきりしてた方がやりやすいんでしょうけど、結局は伝え方だと思うんです。ボクらがどういうスタンスでやってくのかってこと。そこが明確になれば、もしかしたらジャンルを超えて届けることができるのかなって、そう思いました。森川も言ってるように、それは今回に限らずなんですけどね。
■今作はそこを超えた感覚があったんじゃないですか?
森川:超えられたかどうかはわからないですけど、超えようと意識するところが増したのは確かです。音楽以外のもの、たとえば考え方でもそうですけど、人の見方ですら簡単に括られてしまってると思うんです。それってすごく危険なことで。僕たちが音楽でもそんな捉え方をしてしまったら、元も子もないじゃないですか?
ボク達の音楽という表現を通して、意識までをも変えていければいいなって。そう思ってるんです。
■インストが大部分を締めていますが、言葉ではない感情表現にはどんな想いが込められているんですか?
森川:タイトルの『silence in everywhere』って、〈静けさはどこにでもある〉というニュアンスで、この言葉がアルバムを作る前から三人の中で存在していて、これをしっかりとした形でいかに表現していくかってことが大きかったです。生活している中で、情報って溢れかえってるじゃないですか。それってすごく便利だし、こちらから動かなくても楽に暮らせてしまうツールだし、困ることも特にない。でも、そういう考え方だけをしてしまったら、危険だなっていつも思ってるんです。情報だったり、溢れているものを騒音として考えると、騒音に流されてしまいそうになる。でも、そこに耳を澄ますことを忘れないでいたいなって。これって自分から動き出さなきゃいけないことだし、耳を澄ますことができたら、その中できっと大切ななにかが見えてくるんじゃないかなって思うんです。騒音の中にも静けさはあるし、深夜に一人で部屋にいる時に感じる静けさもある。渋谷のスクランブル交差点の中でも静けさはあるんじゃないのかなって考えたとしたら、「その静けさはどこに存在していると思いますか?」っていう投げかけでこの作品を聴いてもらえたら、大切ななにかを感じてもらえるんじゃないかなって。
■答えは人それぞれの中にあって、生きていく中で大切ななにかに対しての想像力をかき立たせていく。そこの重要性ですよね?
森川:そうです。前作で『white pattern』ってアルバムを作ったんですけど、シンプルに説明をすれば「想像力を持つことの大切さ」ってことを考えて作った作品で。まっ白な背景にまっ白な模様があっても気づかないですよね?
でも、そこにあるってことを想像することで見えてくるものがある。それを感じられたら、日常にもっと広がりを持てて、いい時間の流れを作れるんじゃないのかなって思うんです。ただ、その時点ではその表現に納得ができたんですけど、「想像力を持ちましょう」と言ったところで聴いてくれてる人は「うん、そうだね。でも、だからなに?」って最終的な答えを提示するところまでいけてなかった。もっと惹きつけられることができるんじゃないかって。自分のこととして、捉えることができる表現。で、自分自身が想像力を持てる時ってどういう瞬間だろうって考えてみたら、ボクの場合は心の中に静けさを感じた時だったんです。想像力とか自分が大切にしたいものとか、そういうものが浮かんでくる。この作品を聴いて、そんな風に感じてもらえたらって。
佐藤:ボクらが作った音楽を聴いていただくことで、モノの見方がちょっと変わるきっかけになればいいなって思います。違ったモノの見方をすることによって、生活の中に豊かな感情が生まれるんじゃないかって。ちいさなことなんですけど、それが重要かなって。感じてもらうことがここにあれば言葉はいらないんだろうし。
■非常にやさしい音楽だけど、やさしくて穏やかな中にこそ叫びはあるのかなって。この作品を聴いて感じました。
森川:そうですね。そうなのかもしれませんね。
Interview&Text : 松木美歩
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