THE CHERRY COKE$


紆余曲折を経て 大きく前進したチェリーコークス
〈STEP UP RECORDS〉から約3年振り新作発表!!

 とにかくハッピーな気持ちにさせてくれる。バンジョー、アコーディオン、ティンホイッスル、マンドリン、ブルースハープ、バウロン、バグパイプ、サックス……様々な民族楽器と、パンキッシュなサウンドが融合した、日本のアイリッシュ・パンクバンドの代名詞=CHERRY COKE$の3年振りとなる新作は、スピーカーのボリュームを上げてギネス片手に踊りだしたくなってしまう程、賑やかで楽しいパーティ・ミュージックが詰まっている。しかし、それだけではない。前作はほぼ英詞だったが、今作は日本語詞の曲が半分以上を占めており、日本人の心の琴線に触れるような哀愁に溢れた楽曲もあり、メタリックなリフが耳に残る楽曲もあり、ライヴの定番曲もあり──本来の意味でのアイリッシュ・ミュージックと言っても過言ではない──自分たちの"今"のアイデンティティーをしっかり刻んだ1枚となった。詳しくはインタビューを読んでもらいたい。そして、今作は、めでたく10周年を迎えるパンク・レーベル〈STEP UP RECORDS〉からリリースされる。その経緯やアルバムについて、メンバー5人(katsuo、Masaya Suzuki、Hiromitsu、Yoshiko Suzuki、Tomokazu Mochizuki)に訊いた。

 

■JUICEは初の取材になるので、ちょっと素朴な疑問をしたいんですが、CHERRY COKE$というバンド名はどこから来たのでしょうか?"さくらんぼ味のコーラ"っていう可愛らしいイメージよりも、ギネスという男らしい感じの印象なんですけど(一同笑)。
Katsuo:由来は……無かったよね(笑)。持ち寄った中で決めたと言うか。でも、ギネスは好きだよね。昔、イベントで本当にギネスに協賛してもらったこともあって(笑)。凄く嬉しかったですね。でも、バンド名は特に考えず……って感じだよね?
Hiromitsu:うん。アイリッシュっていう音楽をやろうと思って始めたバンドではないから、名前も全然リンクしてないんだよね(笑)。
Katsuo:だから、あやうく"69"とかになるところだったからね(一同笑)。あとは、BANANASHAKESが好きだったからっていうのが大きいかも。CHERRY COKE$、BANANASHAKES──響きが似てるじゃないですか (笑)。ロカビリーもスキだったし、そういう匂いがするバンド名が良かった。
■と言うことは、結成当時は音楽性は決まってなかったんですか?
Hiromitsu:そうですね。こういうジャンルをやろうっていうよりは、ロックやスカパンクやスカコアとか……いろんなことをやろう、と。あとは、人に覚えてもらいやすかったっていうのもありますね。"チェリコ"とか略されるし(笑)。
■(笑)今でこそアイリッシュパンクという形容される思うんですが、その当時から今までの音楽性の変化はご自身ではどう思われてますか?
Hiromitsu:1stが出る頃には、ポーグスなどのアイリッシュパンク、日本のラスティック、海外でフォークパンクと呼ばれるものなどに影響を受けた音楽をやり始めて、自主で出した7インチではホントに雑多な音楽をやって──そもそもは、うちのトランペットのヤツがイギリスのお土産でティンホイッスルを買ってきて、レコーディングでちょっと吹いてみようか?っていう遊び心から、こういう音楽が始まって。それをきっかけに、みんなもう一つ楽器をやろうってなって、僕もマンドリンとか、バンジョーを始めて、今のスタイルになりましたね。
■へぇ……。じゃあ、偶然の産物というか。
Hiromitsu:そうですね。自分たち的には"アイリッシュ"にとらわれずいろんな世界の音楽を表現できたらいいなと思ってるし。やっぱり"アイリッシュ"だけじゃないと思うし、今回のアルバムではそれが出来たんじゃないかなと思ってます。日本語も入ってるし(笑)。
Katsuo:アルバムの中であんなに日本語の歌詞を入れるのは初めてだよね、しかも半分以上(笑)。
Hiromitsu:CHERRY COKE$っていうと洋楽のイメージがあるから、聴いた人が日本語の歌詞をどうやって受け取ってくれるのか、楽しみですけどね。
■今回は2年10ヶ月振りのリリースとなりますが、この約3年はどのような時期でしたか?
Katsuo:我慢の時期もありましたね。去年はライヴはやっていたけど、表立って何の活動もしてなかったから、メンバー同士で「ヤバイね」って話をしてて(笑)。だから、凄くモヤモヤしてて、早く作品を出したいな、と。
Hiromitsu:曲作りはしてたんですけどね。それを出すレーベルが見つからなかったから、実際作ってはいたけど、モチベーションは正直下がってて。レーベルはどこも興味を示してくれたんですけど──待つ時間がとにかく長くて。
Masaya Suzuki:相手が対会社じゃないですか。やっぱり「やりたい」ってこっちが言っても、返事を待ってる時間が長いんですよね。練習では、新曲をいっぱいやってる状況なのに、ライヴではやらないみたいな状態が続いてて。
■変な話、自分たちでやろうっていう話は出ませんでしたか?
Katsuo:(笑)誰もが思いかけてましたね。
Yoshiko Suzuki:そんな時に〈STEP UP RECORDS〉が声をかけてくれたんですよね。
Hiromitsu:ほんとに僕らを好きでいてくれたんですよ。「ヤル気がある!」って言ってくれて、凄く嬉しかったですね。
■色んな人たちを見てきたからこそ、余計に嬉しいですよね。じゃあ、CHERRY COKE$がCHERRY COKE$でいられる為に、一番いいレーベルだったんですね。
一同:そうですね。
■また、この3年の間には海外での活動もありましたね。
Hiromitsu:そうですね。フジロックにも出させてもらったし、海外でフロッギング・モリーとのツアーもあったし。フロッギング・モリーとのツアーは、小さいハコから──それこそ、8000人キャパの野外でも演奏して、ホント楽しかったですね。
■おぉ〜!!バンドにとって大きい経験だったんじゃないですか。
Hiromitsu:元々俺が歌詞に日本語を入れることに対して「ん〜……」ってところがあったんだけど、海外に行ってから前向きに考えられるようになったというか……。日本語の歌詞の曲も盛り上がったし、MCも日本語で言ってたし、(フロッギング・モリーのメンバーが)打ち上げで英語で喋ってきたりするんだけど、俺はお構いなしに日本語で喋って(笑)。でも、それを分かろうとしてくれて。そういうところで──俺らは日本人なんだ、って思う部分があって。
■日本人としての誇りを持つことが出来たんですね。ありきたりな言葉かもしれないですけど、本当に音楽は国境を越えるというか。
Hiromitsu:ホントにそうですね。……まぁ、俺らも英語を勉強しなきゃダメですね(笑)。でも、英語できなくても、ジェスチャーで伝わったから、めちゃくちゃ不便には感じなかったかな。
Yoshiko Suzuki:向こうの人も頑張って日本語で喋りかけてくれて。それも凄く嬉しかったですね。
Hiromitsu:「ニーハオ」って言われることもあったけどね(一同爆笑)。
■あはは。でも、そういうことがあったからかもしれないんですけど、今作は凄くにぎやかなサウンドなんですけど、日本人独特の"わびさび"の世界を感じるというか──哀愁漂う楽曲が多いですよね。
一同:そうなんですよ!
Masaya Suzuki:そこなんですよ。日本人ならではの奥ゆかしさが出したかったというか。痒いところに手が届くというか(笑)。哀愁って、やっぱりその人たちの生き様だと思うんですよね。それがきちんと出たと思う。
Tomokazu Mochizuki:日本人ってよくも悪くも奥ゆかしいから、それを意識しました。「これが俺ら」って言うか。
■そこに自信を持つことが、なかなか難しいですよね。
Tomokazu Mochizuki:当たり前のことなんでしょうけどね。……アメリカから帰ってきたら、すぐレコーディングしたんですよ。それも大きかったかもしれない。
■あ、じゃあアルバムについての話し合いを改めてするってこともなく?
Katsuo:そうですね。まぁ、作品に関してはいつも話し合いとかはしないし、アメリカツアーでみんなで一緒にいる時間が長かったから、そのままのテンションでレコーディングに入れたかな。
Yoshiko Suzuki:気持ち的な部分で少し余裕はあったよね。新メンバー(Tomomi)が入ったんですけど、凄く頑張ってて。
Hiromitsu:そう、その新メンバーがダメなヤツなんだけど(笑)空気を和ませる力があるから、なんでも言い合えるというか。
Katsuo:なんかあったら「うっせーよ!」って言えるしね(笑)。
■でも、その感じというか──音からも楽しいレコーディング現場だったのが伝わってくるというか。聴いててハッピーな気持ちになります。
Hiromitsu:ありがとうございます。曲の半分以上は僕が作ってるんですけど、哀愁とか切ない部分はあるけど、一番聴いてもらいのはそこなんじゃないかなって。聴いてる時はしゃいで、楽しく過ごして、帰ったらそれぞれの問題がある。でも、人生に置いての多くの時間を楽しく踊ったり、ポジティブでいたいな、と。それを表現したかった。
■「せめてこれを聴いている時は幸せであって欲しい」「それで元気になってほしい」と言うか。
Hiromitsu:そうですね。そうあって欲しいし、そういう存在でいたいな、と。
■昔からそういうイメージはありましたけど、より強くなった感じがありますね。
Katsuo:個性もバラバラな7人だけど、この7人が集まると自然とこの空気が出るんですよ。一人だと楽しくない(笑)。
■じゃあバンド内のいいグルーヴが出たんですね。
一同:グルーヴ!(一同笑)
Hiromitsu:いい言葉出ましたね(笑)。確かに、曲が形になるのは早かったですからね。一番最後の曲(M-12"49ers")は昔からあった曲ですけど。
■なぜ今録ったんですか?
Hiromitsu:今はもう売り切れてるんですけど、スプリットに収録されてた曲なんですよ(03年にリリースした、13ROUNDとのスプリットCD『THE FREIGHT TRAIN RUNS FOREVER』に収録)。ライヴで凄く盛り上がる曲なんですけど、お客さんが本当の曲をみんな知らないっていう現実があって、それを再録しようっていう感じだったんですよ。一番古い曲ですね。あ、"MY DEAR"も2ndアルバムが出た直後からある曲 かな。
■リード曲となる1曲目"1999"には、どんな想いを込められたんですか?
Tomokazu Mochizuki:バンドを結成した年なんですよ。PVにもなった曲で。
Hiromitsu:一番最後のほうに出来た曲なんだけど、俺の中では「今までのCHERRY COKE$のスタイル」みたいなものが出た気がする。こういう曲をやりたいなと思ってたし、そういう曲がアルバムの核になるかな、と。
■確かに、今のCHERRY COKE$を感じる曲ですよね。今お話してくれた色んな要素が一番強く出てるというか。
Katsuo:出し切ったもんね。20曲くらい候補曲があった中で、あとの8曲は「もうやれん!」ってなって結局録りもしなくて(笑)。
■ちなみに私は、4曲目"SURRENDER"〜6曲目"THE CHERISH TOWN"の畳み掛けるような流れが好きなんですよ。ちょっとメタリックな感じもあって。
Katsuo:ああ(笑)。確かにそこは勢いがありますね。4曲目は、ギターの将也が作詞作曲をした曲だから、また違う独特な世界観があると思う。
Masaya Suzuki:完全に(メタリックな感じは)狙いましたね(一同笑)。それが伝わってくれれば、思い残すことはない(笑)。元々メタルが好きなんですよ。メタルにも色々あるけど、クラシカルなメタルが好きで……そういう要素を遊び心で入れて。
■クラシカルなメタル(笑)。遊び心って言うか、本気な音じゃないですか!(一同笑)。でも、全体的にいい流れですよね。
Katsuo:そうですね。意識したわけじゃないけど最初が"1999"っていう僕らが結成した年のタイトルで、最後が昔からあった曲で──原点回帰じゃないけど、いい流れだなって。1stアルバムは今まであった曲を集約した感じだったから勢いがあるアルバムだったんだけど、そこに新しくなったCHERRY COKE$の色が入れられたんじゃないかな、と。
■それって本来の意味でのアイリッシュ・ミュージックですね。タイトルはどういう意味を込めたんですか?
Tomokazu Mochizuki:最初は響き的なところで決めたんですけど。例えば「飲み歩く」でも良いし、「グラスの中に入っているものを取り出して」とかでも良いし。僕ら、ビールが好きっていう意味があるから──いや、実際好きなんですけど(一同笑)。いろんな意味で捉えてもらえればいいんですけど、後付なんですけど色んな意味で感じてもらえればいいなと。
■了解です。で、今後はツアーがありますが、8/1渋谷CYCLONEは既に売り切れで、ファイナルが9/8渋谷クアトロで。
Katsuo:実は日本地図を見ながら全国を回るのは初めてなんですよ。今までのツアーは最大でも3日連続で地方出て家に戻ってくる、っていう感じだったから。だから、凄く楽しみですね。ビールも美味い時期ですから(笑)。2300円以上の価値はあると思うからCDを買ってもらいたい、ライヴにくるお金がなかったらCDを売ってもいいから、そのお金を握ってクアトロに来てもらっても(一同爆笑)。でも、最高傑作ですよ。自信がありますから。

 

Interview & Text: 逆井真理